またやらかした?!–グロジャンの見方
スペインGPのスタート直後に大きなアクシデントが起きた。きっかけはロメイン・グロジャン。集団の中でスピンし、アクセルを踏み込むアクセルターンでコントロールを取り戻そうとしたが、フルケンベルグ+ルノーとガスリー+トロロッソ・ホンダを巻き込んで、3台が瞬間的に消える原因となった。
最初に見た瞬間は、グロジャンがまたやらかしてしまった、と思ったが、ビデオのリプレイを見ると、きっかけは、グロジャンの直前にいたケビン・マグヌッセンのようだった。マグヌッセンは、瞬間的にグリップを失って体勢を崩しかけてコーナーアウト側に半車身ほど急激に進路を変えた。その動きにグロジャンが反応してコントロールを失ってスピンした。
グロジャンが間違ったとしたら、長い右コーナーの中の出来事だったから、その瞬間に外に逃げて後続との接触を回避すべきだったところでそれしなかったことかもしれない。しかし、あの状況で、そんな動きができるものだろうか。
スピンしてアクセルを踏んだのは、アクセルターンでコントロールを取り戻そうとしたからのはずで、結果としてそれがかなわずに後続が当たってしまったということだったのではないかとも考えられる。
テレビの解説は、アクシデントの瞬間からグロジャンに冷酷だった。しかし、非を責めるのは、状況をよく観察してからにしてほしかった。確かにグロジャンは、GP2時代から蚤の心臓と冷やかされる神経質な性格であることで知られるが、だからといって常に観察なしに非難するのはいかがなものか。検証の結果、それでも彼が悪いということになるかもしれないが、それはそれ。“あ~、やっぱりあいつか”という原始的な方法ではなく、冷静な視点での意見がほしいと思う。
いずれにしても、現実は現実。今はただ、アゼルバイジャンGPのセーフティカーラン中のスピン/クラッシュに続いて、ロメイン・グロジャンが気の毒、ということに尽きる。
[STINGER]山口正己
Photo by Haas F1 Team