シリーズ・VSC :その37・F1移籍話/リカルドはどこへ?
他愛ないことにこそ、面白さが潜んでいる?!
F1フランス・グランプリを境に、2019年のシート争いが話題になっています。
まず、レッドブル・ホンダの契約成立で、ダニエル・リカルドの去就がネットを賑わし、フランスGPで天賦の才能をまたまた証明したシャルル・ルクレールが絡んで、夏にもなっていないのにストーブリーグが燃え始めました。
リカルドがフェラーリに移籍するのか、いやいや、ルクレールがすでにフェラーリに決まっている? ではメルセデス? しかし、ホンダのPUが優れているなら、レッドブルのまま? と、想像力をたくましくさせてくれています。
ちなみに、ストーブリーグというのは、かつては、9月ころに“解禁”され、冬に向って翌年のドライバー契約が進められるということから、ストーブの季節の交渉、という意味で使われていたのですが、いまやクーラーリーグと呼ぶべきですね。
ところで、なぜ交渉の時期が早まったのかといえば、これはホンダの責任(?)なのです。
1980年代中頃、第二期ホンダF1のターボ時代、1500ccから1000馬力以上を絞り出して圧倒的な強さでF1に君臨していたホンダ・ターボエンジンは、全チーム、全ドライバーから羨望のまなざしを受け、チームは、ホンダに対して、“良いドライバー契約したのでエンジンをよろしく”と交渉しました。それまでは、9月のイタリアGPが、ドライバー交渉開始、という紳士協定があり、ストーブの季節まで交渉が続いていたのですが、それを守っていたら出遅れる。
当時、6月頃に翌年マシンの設計に着手していましたが、ならばその時点でエンジンが決まっていなければならず、エンジン契約を取り付けるためにドライバーの契約が先行した結果、1986年には、アラン・プロストとアイルトン・セナという当代きってのトップ2の組み合わせが、春先には決定していたと言われました。
要するに、ホンダ・エンジンがF1の命運を握っていたのです。マクラーレン・ホンダが公式に発表されたのは、それまで紳士協定で契約交渉がスタートするといわれていた9月のイタリアGPの会場だったのです。
さて、2018クーラーリーグ、まだまだ楽しい話題が出てきそうです。リカルドが動けば、もしかするともしかして、レッドブルにガスリーが座り、開いたトロロッソ・ホンダのシートが日本のドライバーに回ってくる、かもしれません。
[STINGER]大和 空 / Sora Yamato
Photo by Aston Martin Red Bull Racing