風を読むシルバーストン攻略の秘訣—-F1イギリスGPの記録と記憶
シルバーストンは、空港跡地のサーキットだ。空港といえば、平坦が常識、シルバーストン・サーキットは、アップダウンがほぼゼロ。要するに、“吹きっさらし”のサーキットだ。
そのシチュエーションで、面白いことがおきる。風の影響だ。と言っても、風の影響が面白いのではない。面白いのは、その風の判断の仕方、というところ。
シルバーストンに限らず、スタンドには熱心なファンが思い思いの旗を持ち込んで、ひいきのドライバーを応援する。その旗が、風にたなびく。スタンドの旗をコーナリングの参考にする、というのが、実はシルバーストンの隠れたテクニックなのだ。
高速コーナリングでは、向かい風か追い風かで、ダウンフォースが微妙に影響し、進入スピードの限界が変化する。ドライバーたちは、高速コーナー手前でスタンドの旗を観て、進入スピードの目安にしている。
向かい風ならダウンフォースが増えるから、進入スピードが高めでイケる。追い風ならその逆だ。
こんな単純な“秘訣”を、百戦錬磨のF1ドライバーが駆使している、というのが面白い。それも、1950年からF1GPの舞台として歴史と伝統を誇るサーキットで、となれば、テレビの画面に旗が映る毎に気になってしょうがない?!
[STINGER]大和 空/Sora Yamato
photo by Jiri Krenek/activepictures