DRSは要らない?!
F1イギリスGPのフリー走行で、ロメイン・グロジャンが1コーナーでコースオフ/クラッシュしたときに、多くの人は「またか」とグロジャンのミスを糾弾した。たしかに、ミスはミス、だが、そもそも、あの場所でDRSを“操作できること”に問題はなかったのか。
今回のシルバーストンのF1イギリスGPで、DRSゾーンが3カ所になった。そのうちのひとつ、ターン1がグロジャンのアクシデントの場所だが、同じポイントで、そっくりな状況で、ザウバーのマーカス・エリクソンもクラッシュしている。同じ状況というのは、その場所で、リヤウィングのフラップが開いた状態、つまりDRS「ON」のままでアプローチにかかり、リヤのダウンフォース不足が原因でコントロールを失った、ということだった。
ルイス・ハミルトンは、この場所をDRSゾーンにしたことを、「無意味」とコメントした、とformula1.comのニュースは伝えている。つまり、グロジャンやエリクソンを責めるだけでは、問題は解決しない、ということだ。
本来、DRSは、「前のクルマの1秒以内に入ったら使えます」という規則があるが、フリー走行では、前車がいなくても使えることになっている。本番に備えて状況を把握するためかもしれないが、それによって危険が増えるのでは、主客転倒とも。
いたずらにスピードをあげるためのDRSは、スペクタクルな場面を増やし、より多くの視聴者の興味を喚起して、F1人気上昇の大切な要素になっているようだけれど、別の視点からの考察が必要になったと言えそうだ。
[STINGER]山口正己
photo by Honda