イタリアGPは、独特のグランプリ!!
今日8月31日から始まるイタリアGPの舞台となるモンツァは、独特な位置づけにある。まずは、フェラーリのお膝もであること。観客席は赤く染まり、ゴール後に観客がコースに雪崩込む。それを見越して表彰台は、二十一世紀を迎えたころに、ピットビルから出島のようにコースに出っ張って設置されるようになった。足元に流れ込むファンの群れの中のドライバーは、他のレースとはまた違う感慨に浸ることができる。
その独特なモンツァのレースは、アクセルの全開率が83%と言われ、エンジンパワーがモノをいう超高速コースであり、2005年にマクラーレン・メルセデスのファン・パブロ・モントヤが記録した最高速は、372.6km/h。
高速なためだけでなく、フェラーリのお膝もとという高揚した空気の中で行なわれるレースに勝つのは簡単ではない。逆に言えば、モンツァで勝てるということは、ドライバーもチームも“強い”ということになる。
イタリアGPで優勝したドライバーは、ミハエル・シューマッハの5勝を筆頭に、ルイス・ハミルトン/ネルソン・ピケが4勝、続く3勝は、ロニー・ピーターソン/J.M.ファンジオ/スターリング・モス/アラン・プロスト/セバスチャン・フェッテル/ルーベンス・バリチェロが並ぶ。ちょっと意外なのは、バリチェロが3勝を上げていること、と言っては失礼か。フェラーリで2勝、ブロウンで1勝の合計3勝は、見事だ。
また、チームごとに観ていくと、1950年からの69戦で、フェラーリ(18勝)、マクラーレン(10勝)、ウィリアムズ(6勝)、メルセデス(6勝)の4チームだけで40勝を記録している。もちろん、最多は1950年から全戦皆勤賞のフェラーリだが、マクラーレンが10勝、ウィリアムズがメルセデスと同じ6勝を記録しているのが興味を引く。このうちマクラーレンとウィリアムズの2チームは、現在、最下位争いに沈んでいるが、過去の栄光は、並々あらぬものがある、ということだ。
ちなみに、レッドブルは、マセラティ/ヴァンウォール/ルノーと並んで2勝のみ。歴史の中では、まだまだ駆け出しであることがわかる。
データを観ていくと1980年代中頃から後は、ほとんどのレースで、フェラーリとマクラーレンとウィリアムズが優勝している。また、トロロッソが勝った2008年を境に、新勢力が台頭し、ここ4年間はメルセデスがイタリアGPを総なめにしている。
◆イタリアGPウィンニングチーム
1983年:ブラバム
1984年:マクラーレン
1985年:マクラーレン
1986年:ウィリアムズ
1987年:ウィリアムズ
1988年:フェラーリ
1989年:マクラーレン
1990年:マクラーレン
1991年:ウィリアムズ
1992年:マクラーレン
1993年:ウィリアムズ
1994年:ウィリアムズ
1995年:ベネトン
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2008年:トロロッソ
2009年:ブロウン
2010年:フェラーリ
2011年:レッドブル
2012年:マクラーレン
2013年:レッドブル
2014年:メルセデス
2015年:メルセデス
2016年:メルセデス
2017年:メルセデス
高速でエンジンパワーがモノを言うモンツァ。今年はフェラーリがどこまで力を見せるかをイタリアが待ち焦がれ、多くの注目が集まっている。
ホンダのパワーユニットも、カナダGPに投入したstep2の試行錯誤が仕上げに入り、悪くないポテンシャルを示すことが期待される。明日のフリー走行からの最高速合戦が、楽しみ。
[STINGER]大和 空/Sora Yamato
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