8秒に3度タイム更新で絶叫のF1予選!!
9月1日土曜日にイタリアのオートドロモ・モンツァで行なわれた2018F1GP第14戦イタリアGPの予選は、これぞF1グランプリというスペクタクルでドラマチックなエンディングだった。
ボッタス+メルセデス、ハミルトン+メルセデス、フェッテル+フェラーリ、ライコネン+フェラーリの4強が接近してコースイン。それぞれ前車のスリッププストリームを使ってタイムを稼ぐ作戦だ。
それぞれの間隔は100mほど。高速モンツァでは、前車の巻き起こす乱流の中に納まって空気抵抗が減り、スピードアップを図れるスリップストリームの範囲内だった。先に出たメルセデスは、ボッタス+メルセデスを犠牲にして“風除け役”を担当させ、ハミルトン+メルセデスのポールポジションを狙った。
しかし、フェラーリは、そのハミルトン+メルセデスの背後からさらなに効果を狙って2台を追尾させた。
果たして、ボッタス+メルセデスの3秒後にコントロールラインを通過したハミルトン+メルセデスは、予定通りに1分19秒294のベストタイムを記録、場内放送は絶叫しメルセデスのピットは沸き立った。しかし、約2.8秒後にコントロールラインを通過したフェッテル+フェラーリのタイムは、1分19秒280。ポールポジションはフェッテル+フェラーリに決まったかに見えた。だが、さらにその2.3秒後にコントロールラインを横切ったライコネン+フェラーリのタイムは、1分19秒119。
ここで、それぞれの車間の中で、フェッテル+フェラーリとライコネン+フェラーリの間隔が他より0.5秒ほど短かった。つまり、ライコネン+フェラーリは、前の二人より、より強いスリップストリームの恩恵を受けてポールポジションを獲得した、ということになる。
近ければ近いほどスリップストリームで抵抗は減らせるが、逆にダウンフォースが減少するリスクもある、前車との距離は、絶妙に調整してこそ、効果が上がるのだが、ライコネンは伊達にF1ドライバー最年長ではなかった。もてるノウハウの総てを駆使してフェッテル+フェラーリとの車間を読み切ってのアタック。コクピットを降りたライコネンが珍しくかすかに興奮状態だったのは、ノウハウの総てを使い切ったためだったに違いない。
[STINGER]山口正己
photo by FERRARI