ランド・ノリスの“ポテンシャル”
18歳のランド・ノリスがマクラーレンF1チームと契約した。2019年シーズン、カルロス・サインツの相棒として、イギリス期待の星がF1フルタイムドライバーとしてデビューする。
ノリスは、現在、F1直下のF1A-F2に参戦し、開幕戦のバーレーンで鮮やかな勝利を飾った。しかし、ここ数年、ストフェル・ヴァンドーン、ピエール・ガスリー、そしてシャルル・ルクレールと続いたF2での“天才の系譜”から若干踏み外した存在に見える。
本来であれば、開幕戦の優勝をそのまま持続して、連戦連勝を続ける筋書きが予想できたが、その後のF2は、成長著しいジョージ・ラッセルが活躍し、ノリスは現在シリーズ2位に甘んじ、時にはノーマークだったはずのアレキサンダー・アルボンにもやられるレースもある。
とはいえ、モンツァで見せたコーナーアウトから2台ごぼう抜きのような光った腕前を見せることもあり、逸材には間違いなさそうだが、果たして、巧さが際立つフェルナンド・アロンソのシートに座って、アロンソの仕事を引き継げるのか、という疑問も浮かぶ。
フェルナンド・アロンソが素晴しいドライバーであることは誰でも知っている。ノリスがアロンソ以上の働きをするかといれば、コースの上ではしばらく経験を積むことが必要だろう。しかし、圧倒的にノリスが優れていることがある。それは、“新鮮”ということだ。
18歳の逸材である。これは、スポンサー筋にはアロンソよりも強く響くフレーズだ。ザック・ブラウンの狙いがそこにあるとすれば、見事と言うしかない。イギリスには、若手に期待して将来のために一肌脱ごうという投資家の存在もある。
来年のことを言うと鬼に笑われるらしいが、2019年シーズンが始まる前に、ザック・ブラウンの狙いが当たっていれば、マクラーレンはスポンサーを獲得し、オレンジ色ではないカラーリングで登場することになるだろう。まずは、マクラーレンが何色になるか、とりあえずの楽しみは、そこだ。
[STINGER]大和 空/Sora Yamato
Photo by FIA-F2