メルセデス、安定狙いのタイヤ選択。フェラーリとは真逆!!
シンガポールで、13種類供給されるタイヤをどう選択するかでチームの置かれた状況が見えてくるかもしれない。
7戦を残している現在、2018F1GPのチャンピオンを、ハミルトン+メルセデスとフェッテル+フェラーリが争っているが、イタリアGPを仕留めたハミルトン+メルセデスが優位にいる。これに対してフェッテル+フェラーリが、残り7戦で逆転するためには、攻めのレースをしなければならない。この2チームの置かれたポジションが、タイヤの選び方に如実に現れている。
メルセデスは実にコンサバティブ。冒険を避け、安定思考で、ソフト3セット、スーパーソフト4セット、ハイパーソフト6セットを選択。フェラーリは、一番硬いソフトを1セットだけとし、最も柔らかいハイパーソフトを9種類選んでいる。メルセデスのコンサバティブに対して、若干エキセントリックな危ない選択ともいえる。当たればいいが、何かで状況が変化すると、レースを失う可能性がある。しかし、攻めの姿勢やよし。レースはいまから面白くなる予感にあふれている。
フェラーリと同じように、攻めの姿勢を見せているのがトロロッソ・ホンダだ。ソフト1セットのみ、ウルトラソフト4セットにハイパーソフト8セット。フェラーリほどエキセントリックではないが、積極的なレースを想定しているのは、このコースがトロロッソ・ホンダ向きであることをチームが認識しているからだろう。
週間天気予報によると、週末の金曜日と土曜日のシンガポールは雨が報じられている。もともと、シンガポールの夜に雨が降ることはごく稀だが、昼間に降ったとしても、コース路面の水はけが悪く乾かない状況が長時間続くことで、雨がコースに残る面倒なコンディションが予測される。
そうなったときには、柔らかめのタイヤの方が有利になる。フェラーリはそう読んでいるのかもしれない。いずれ、公道コースの路面のグリップは高くない。少なくともタイヤの選び方からすると、フェラーリが有利にレースを展開しそうだ。同じく、トロロッソ・ホンダの思惑も同じ方向にありそうだが、果たして週末の展開はどうなるのだろうか。
[STINGER]大和 空/Sora Yamato
photo by PIRELLI