驚速、大幅タイムアップのシンガポールGP
シンガポールGPの初日を終え、“スピードアップ”が話題になっている。
去年のポールタイムは、セバスチャン・フェッテル(フェラーリ)の1分39秒491だったが、初日最速のキミ・ライコネン(フェラーリ)は、1分38秒699とレコードを更新。以下、5番手までが去年のポールタイムを上回り、確実なスピードアップが明確になった。
振動で前が見えない、という酷い路面のうねりもマリナベイ・サーキットの特徴のひとつだったが、今年のマシン、特にレッドブルは路面にボディ下面をこすって盛大に火花を飛ばしている。これは、車高だけに限っても、さらにセッティングがギリギリまで追い込まれた証拠か。
タイムアップの理由は、パワーユニットの進化と、さらに柔らかいハイパーソフト・タイヤが供給されたことも影響しているはずだが、スパ-フランコルシャンとモンツァの高速2連戦の後の、ストレートと直角コーナーで形成されるマリナベイ・サーキットは、まるでカートのように振り回すドライビングも、例年通りに随所で観られた。
特に激しかったのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。そのせいかどうか、ルノーPUが音を上げた。去年のポールシッターのフェッテルは、壁に右サイドをこすりつけ、ルイス・ハミルトン(メルセデス)は激しくタイヤをロックさせる場面を見せ、安定型のはずのバルテリ・ボッタス(メルセデス)も、コースを外れる危うい場面を見せてくれた。
そもそも、マリナベイ・サーキットは、コーナー幅が狭い割りにストレートが長くてスピードが出るリスクが高いコースだが、それを見込んで、直角コーナーにはエスケープゾーンが設けられ、セフティマージンがたっぷりとられている。しかし、マージンが充分なことがドライバーのモチベーションを高め、だからリスキーになる、という結果が、マシンを振り回すドライビングにも現れる、という堂々巡り?!
今日の予選でどこまでタイムが迫るのか、まさに手に汗握る予選は、夕闇迫る午後9時(日本時間午後10時)に始まる。
[STINGER]山口正己
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