ヴァンドーンはF1からインディカーへ?!
マクラーレンのF1を追われたストフェル・ヴァンドーンが、来シーズンにインディカーに転身する可能性を、アメリカのオートレーシングをカバーする“@RACERmag”が伝えた。
ストフェル・ヴァンドーンは、2016年にマクラーレン・ホンダでF1にデビュー、今年は、ルノー・エンジンに換装したマクラーレン・ルノーで、フェルナンド・アロンソのチームメイトとして参戦しているが、2019年はシートを失い、去就が注目されている。
マクラーレンのザック・ブラウン代表は、ストフェル・ヴァンドーンのクビを切っておきながら、“彼は非常に速いドライバーだ”とコメントしていたが、それは、自らのチームであるユナイテッド・モータースポーツのインディカー・シリーズ計画を想定してのコメントだったか。
ストフェル・ヴァンドーンは、2016年バーレーンGPで、前戦の開幕戦オーストラリアGPのアクシデントに遭ったフェルナンド・アロンソの代役としてF1デビュー。いきなりの抜擢にも関わらず、チームメイトのジェンソン・バトンを上回って10位に入賞して注目を集めた。しかし、翌2017年に、マクラーレン・ホンダのドライバーとして正式にF1デビューしたが、マクラーレン・ホンダのポテンシャル不足でGP2時代の切れ味をみせられないまま、苦しいデビューイヤーを過ごした。
マクラーレン・ホンダで正式デビューした時、ホンダの長谷川祐介F1プロジェクト総責任者は、「新人のストフェル・ヴァンドーンに、自信を失わせないようにしてあげたい」とコメントしていたが、図らずも、マクラーレン・ホンダは新人に輝きを与えることはできなかった。
アロンソのチームメイトとして多くを学ぶことはできたが、ヴァンドーンにとって不幸だったのは、相手が別格のベテラン『フェルナンド・アロンソ』だったことかもしれない。2017年は、アロンソが54ポイントを計上したのに対して、僅か1ポイントでシーズンを終える苦汁を味わい、今年も、アロンソの50ポイントに対して、シーズン前半に稼いだ8ポイントに留まっている。
レースの内容をよく観察すれば、ヴァンドーンの成績不振のほとんどはマシンのトラブルに見舞われた結果であり、悪いのはヴァンドーンではなくマクラーレンであることが明確だが、成績にはその理由は現れず、シートを失うのは無理もないという結論が出されてしまう。
「私たちは難しい2年を過ごしました」とザック・ブラウンはコメントしているが、ドライバーのことを考えれば、ここは本来、「難しい2年を過ごさせてしまった」と言うべきところだ。
また、マクラーレンのインディカー計画は、アンドレッティ・オートスポートとのジョイントが想定されるが、そうなると、エンジンが問題になる。インディカーといえばHPD(ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント)のホンダ・パワーが今年もシボレーを圧倒している。ザック・ブラウンは、ホンダを使いたい意向のようだが、昨シーズンにホンダと袂を分かつに当たって、散々こき下ろした“実績”もある。仁義を通さなかった相手に決定権があることを考えることも必要だ。
口さがない連中は、フェルナンド・アロンソがトヨタでWECに参戦し、ルマンで優勝したことからも、HPDが簡単にクビを縦に振れない理由に挙げている。
バンドーンは現在、ザウバーかトロロッソの候補に噂で挙がっているが、その可能性は高いとはいえず、反対にインディカーの可能性は、こちらも不安定な状況ながら、可能性は充分にありそう、というになるだろうか。
[STINGER]大和 空/Sora Yamato
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