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ハミルトンvsフェッテル

セバスチャン・フェッテルは3連勝が最低条件、ルイス・ハミルトンは、ここで7位に入ればいい。あまりにアンフェアに見える条件だったが、フェッテルは最後まで諦めずに闘った。

メキシコGPは、終盤の残り10周に、タイトルマッチを盛り上げるお膳立てが用意されたような展開を見せた。71周レースの60周目のオーダーは、以下の通りだった。

1. フェルスタッペン+レッドブル
2. リカルド+レッドブル
3. フェッテル+フェラーリ
4. ライコネン+フェラーリ
5. ハミルトン+メルセデス
6. ボッタス+メルセデス
—-以下、周回遅れ
7. フルケンベルグ+ルノー
8. ルクレール+ザウバー
9. オコン+フォースインディア
10. エリクソン+ザウバー
11. ガスリー+トロロッソ
12. ハートレー+トロロッソ

三強の6台以外は周回遅れ。フェルスタッペンがリカルドを6秒ほどリードし、リカルドにフェッテルが食らいつく展開。タイヤ交換のタイミングで、フェッテルは一端はリカルドの前に出たが、改めてパスする必要があった。そして、それができるスピードがあった。

一方、タイトルを決めてしまいたいハミルトン+メルセデスは、タイヤに激しいグレイニング(偏磨耗)の兆候を示す黒い帯ができていた。無理はできない。

タイトルを取るためには7位に入ればいい。7位以下は周回遅れなので、ペースを大きく落としても、完走しさえすればタイトルを決められる。しかし、去年もここで、タイトルを決めたが、レース結果は9位。要するに、表彰台でタイトルの祝福を受けられなかった。残り11周での5位は、表彰台に近い微妙なポジションだったのだ。

ハミルトン+メルセデスのタイヤがいつ壊れるかわからない状況のなかで、リカルドのパワーユニットが白煙を巻き上げた。同じトラブルがフェルスタッペン+レッドブルに起きるかもしれない。つまり、フェッテル+フェラーリの優勝に一縷の望みが見えた。

しかし、終盤にファステストラップを連発していたフェッテル+フェラーリも勢いがなくなっていた。同じく、タイヤにグレイニングの傾向が見え始め、1分18秒台で飛ばすフェルスタッペン+レッドブルに対して、1分20秒台で我慢を強いられていたのだ。

上位陣のそれそれが何らかのトラブルの可能性を背負いこんで、手に汗握る状況でゴールを目指していた。しかし、スタートから、50%以上の降水確率の予報にも関わらず雨は降らず、結果的にはそれ以上のことは起きなかった。

優勝したフェルスタッペンは、スタジアムセクションの真ん中に設けられた表彰台で超満員の観衆の拍手を浴び、ハミルトンはひっそりと5度目のタイトル決定を喜んだ。

チェッカードフラッグを受けたフェッテルがハミルトンに近づいてハグ、ライバルのタイトル決定を祝福した。静かな戴冠だった。

[STINGER]大和 空/Sora Yamato
photo by [STINGER]

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