検証:オコンとフェルスタッペンの接触事件
ブラジルGPの44周目、ハミルトン+メルセデスを抜き去ってトップを突っ走るフェルスタッペン+レッドブルが、1コーナーでオコン+フォースインディアにパスされそうになった。タイヤで有利なオコンは、トップのフェルスタッペンをせっつく状態で、数周様子を探った後の44周目のアプローチで、遂にフェルスタッペン+レッドブルの前に出た。が、相手はフェルスタッペン。簡単にはいかず、クランク状に左-右と曲がる1-2コーナーを並走し、右曲りの2コーナーでフェルスタッペンが右に切り込んだところで接触、両者スピンしてフェルスタッペン+レッドブルの優勝が消えた。
この件が審議対象となり、審議の末、オコン+フォースインディアはピットでの10秒停止のペナルティを食らった。オコンに非ありの裁定だったわけだ。トップ争いをしているフェルスタッペンに対して、周回遅れの分際で邪魔をした、という階級社会が明確なヨーロッパらしい判定だった。平民(周回遅れ)はおとなしくしろ、ということか。
フェルスタッペンはレース後の車検場で、オコンの胸元を三度突き飛ばして怒り心頭。優勝をフイにされたのだから怒りは当然だが、暴力の善し悪しの前に、気になるのは接触の原因がなんだったのかだ。
左に曲がる1コーナーへのアプローチでオコン+フォースインディアが一瞬前に出たが、ブレーキングでフェルスタッペンが抜き返し、オコンのインに並んで1コーナーを曲がったが、オコンが踏ん張って、頭ひとつリードされながら2コーナーにかかり、フェルスタッペンがステアリングをググッと右に切り込んで2台は接触した。
状況的には、確かにオコンが引けば、接触はなかったが、フェルスタッペンがステアするのをもう少し待てば、オコンにライを残すことになって接触しなくて済んだ可能性が高いようにも見えた。
◆誰かの“さしがね”?
さて、表面的には以上のようなことだったが、なぜ、そうなったのか。
接触の寸前に、チームからオコンに、“周回遅れを取り戻せ”、という指示が出ていたという情報がある。タイヤ的に優位にいた状況はあったが、いったい、周回遅れを取り戻して何がある? いや、もちろん、下位であってもレースをしているわけだから、少しでも間兄いくのは当然の権利ではあるが、オコンは、メルセデスのヤング・ドライバー・プログラムの筆頭ドライバーだ。もしかするともしかして、チームから撃墜命令?
44周目、2位にはフェルスタッペンに抜かれたハミルトン+メルセデスがいた。フェルスタッペンが消えればハミルトン+メルセデスが勝てる。そしてその通りになった。
“周回遅れ取り戻せ”の指示が、撃墜命令、もしくはその可能性を高めるための“策略”だったとしたら? ついでに言えば、ブラジルは、メルセデスの重要な販売拠点であることも妄想を膨らませる。
さて、この接触、以下のどれだろう?
◆オコンが周回遅れを取り戻そうとして無理した
◆フェルスタッペンが強引すぎた
◆他のなにかの思惑があった
さて、あなたの意見は?
[STINGER]山口正己
photo&movie by formulaone.com