マクラーレンまたまた新人事
マクラーレンがまたもや新人事を発表した。F1のチームリーダーの座に、ポルシェ919Hybridを走らせ、トヨタを打ち破って世界チャンピオン獲得を指揮したアンドレアス・セイドルを着任させた。実績から期待できそうに見える。
しかし、去年、エリック・ブーリエをレースディレクターから引き釣り降ろして解雇して(ブーリエから辞表が出たとマクラーレンは公表しているが、誰も信じていない)から半年、“またか”という声も聞こえ、この采配も、吉とでる可能性はそう高いといえそうにない。理由は二つある。
まず、F1とセイドルが活躍したWECの違い。WECも簡単なレースではないが、F1は耐久レースではなく、クォリティはF1がはるかに上だということだ。WECに勝つのも簡単ではないが、F1は動いている金のレベルが一桁上で、闘いのクォリティは別物といっていい。WECでよければF1でも、というのは、誤った認識だ。
そして、もうひとつは、個々のパーツを変えたからと言って、チームが強くなるほどF1は甘くない、ということ。むしろ、あちこちをちょこちょこ換えることで、チームの結束力は高まるどころか緩んでしまうだけだ。
その辺りに気付いているチームメンバーは当然少なくないはずで、結果として一枚岩が必須のチームはまとまらず、巨大なテクノロジーセンターは、宝の持ち腐れ状態が続いていくことになる。そう言わざるを得ない。
人事でひとつだけ効果があるといえそうなのは、ザック・ブラウンの交代くらいだ、というヒソヒソヒ話も聞こえているが、マクラーレンがトップグループに復帰するのは、まだまだ先の話であることは間違いなさそうだ。
[STINGER]山口正己
Photo by McLaren