史上最強の新車発表会–2007年のマクラーレン
Formulaone.comの連載企画『印象的なF1新車発表会』の中で、2月3日に取り上げられたのは、2007年のマクラーレンの新車発表会だったが、事実上、スケール的にこの発表会は、F1史上最大にして最強だった。
総予算は10億円と言われた。まるでオリッピックの開会式のレベル。バレンシアの芸術科学都市“レミスフェリック”周辺の道路を閉鎖して市街地コースを仕立て、メインスポンサーのボーダフォンからは、800人の参加者全員に当時最新鋭だった折り畳み式のモバイルフォン“Vodafone McLaren Mercedes GX29”が配られた。
参加者の前で、ショーが繰り広げられ、世界的なピアニストのジャネッサ・メイの演奏の後に行われた抽選会で、イス・ハミルトンとともにドライバーとして紹介されたフェルナンド・アロンソには、発売直後のメルセデスSLRマクラーレンが前年度のチャンピオン獲得記念に贈られ、さらに、アロンソが抽選で選ばれる番号に電話をかけ、800人の中でつながった参加者に、メルセデスC300が贈られるなど、すべてが桁違いだった。
今考えると、ロン・デニスの才覚が最も光っていたのがこの発表会だったかもしれない。アロンソとハミルトンは、今思えば、以後、F1最高のドライバーとして君臨する二人だったことも、この発表会のスケールに花を添えるメインキャストだった。
[STINGER]山口正己
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