色がクローズアップされる2019年
ハースF1チームが、エナジードリンクのリッチ・エナジーを冠スポンサーに迎え、そのイメージカラーの黒字に金のストライプのカラーリングで登場した。JPSカラーにそっくり、という声もあるが、繊細さではJPSのクォリティには届いていないかもしれない。
JPSは、1972年に、ロータスのコリン・チャップマンが、ゴールドリーフカラーに続いて、タバコメーカーのフィリッフモリスを口説いてF1に登場した。黒に金のストライプと言われたが、実は金に見える黄土色だった。当時カメラマンが使っていたコダクローム・フィルムで写した場合に最も金色に見える色だったからだ。実際の金色にすると、光の加減とコダクロームの特性から、金色に見えない、というのがその理由。
その後、写真よりも映像が幅を効かせるようになるに従って、色の使い方や考え方が変化した。好例が、イタリアン・レッドを伝統的に護っているフェラーリの色だ。刻々と変化し、フィルム時代から映像時代になり、さらにハイビジョンの登場で、同じイタリアン・レッドでも、2000年に入った頃に、赤が黒っぽくなり、ラメが入ったように見えたこともあった。
今年のフェラーリが、艶消しになったのは、そうした流れに、スポンサーのフィリッフモリスの都合もありそうだ。艶消しの赤は、光の当たり方で赤には見えないこともなり、フェラーリのマットカラーには反対意見も見受けられる。
いずれにしても、チームは、自社ブランドのイメージカラーを非常に大切にしている。フェラーリの赤だけでなく、ルノーと言えば黄色、メルセデスはシルバー、マクラーレンはオレンジ、というように。しかし、その視点で見た場合、ホンダF1チームの色は何色かと思うと、即座にイメージカラーが浮かばない。浮かばないのではなくないのかもしれないが、本田宗一郎さんが最初に作ったF1マシンRA270に塗らせたのは金色、ホンダS360は赤だった。
[STINGER]山口正己
photo by HAAS / FERRARI