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バルテリ・ボッタスは別人になった!!

もう、いままでのおとなしいフィンランド人ではない。

2019年のバルテリ・ボッタスは、一味違う。単にオーストラリアGPに勝ったからではなく、その勝ち方が圧倒的だったからだ。ボッタスは生まれ変わったのだ。

開幕戦の週末が始まってしばらくしたところで、バルテリ・ボッタスの様子がおかしかった。ルイス・ハミルトンが「快適」と言う同じマシンに乗りながら、スピンを繰り返したからだ。そういえば、去年のアルバートパークでは、不名誉なシーズン最初のクラッシュを演じている。公道コースが不得意なのか? それとも相性が悪いのか。

それに対してルイス・ハミルトンは、飛び跳ねる硬いセットのサスペンションを力づくで制御して乗りこなしているように見えた。しかし、あとで考えると、ボッタスは、限界を試していたのではないかと思えてきた。

ボッタスが激変したのは、予選が始まった時からだった。それまでと見違えるように、特にセクター1のスピードが群を抜き、ハミルトンに差をつけて予選をリードした。フリー走行で限界を見極めていたからに違いなかった。

しかし、予選が終わってみると、結局ハミルトンが最後にスーパーラップを叩き出して逆転。ボッタスは今シーズンも我慢のポジションかと思われていた。

ところが、レースが始まると事態が激変していた。まず、スタートで絶妙なクラッチミートでダッシュを決めて1コーナーでハミルトンの前に出ると、グイグイと差をつけて先を急いだ。

「5~6周で、マージンを築けたので安心した」とボッタスは振り返った。つまり、“もうハミルトンに追いつかれることはない”と理解したということだ。

ピットとのやりとりの中でも、ボッタスがこれまでのおとなしいフィンランド人ではないことを感じさせた。今年から、ファステストラップにポイントが1点加算されることになっていた。

序盤から中盤にかけて、快調なボッタスがファステストラップを記録していたが、終盤、セバスチャン・フェッテルがそれを更新した。チーム無線はボッタスに、「優勝の25点が取れるのだから、リスクを背負って1点を追うことはない」と伝えたが、ボッタスは、「せっかくだから26点にしようよ」とサラリと返答したのだ。

フェッテルのタイムを、ハミルトンを追って3位走行中のレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが更新した。無理をすることがないボッタスであることを考えて、ファステストラップはフェルスタッペンのものと思ったところで、ボッタスがファステストラップを取り返したのだ。

チェッカードフラッグを真っ先にかいくぐったボッタスは、コクピットを降りる、「間違いなく生涯最高のレースだった」と振り返った。

ルイス・ハミルトンは、「バリテリはいい仕事をした」とクールに答えたように見えたが、内心穏やかではなかったはずだ。ボッタスのスピードが尋常はなかったことに彼なら気付くはずだからだ。

去年1年間の悔しさをバネにしたボッタスは、気分を一新することを自らに課して冬の間、厳しいフィジカルトレーニングを行なって身体を作ってシーズンに挑んだ。そして、その方法が間違っていなかったことを開幕戦で確認した。髭を蓄えたフィンランド人は、表彰台で去年までとは違う顔をしているように見えた。

4度目の勝利は、いままでのように、マシンの強さで拾った勝ちではなく、正真正銘、強いマシンを確実にモノにした完全勝利だった。自信をつけたバルテリ・ボッタスをルイス・ハミルトンがどう迎え撃つのか、今シーズンの闘いに、もう一つ面白いテーマが加わった。

[STINGER]山口正己
photo by MERCEDES

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