久々に聞いた“インプルーブ”というホンダF1フレーズ
ホンダF1レーシングの田辺豊治テクニカルディレクターは、ホンダにとって実に82戦ぶりという久々の表彰台を得たオーストラリアGPのレース後に、“インプルーブ”というフレーズを使った。
インプルーブは、改善するという意味だが、ここには、“さらなる進化”とでも訳すべき雰囲気がこもっている。
それは、このフレーズは、田辺TDがゲルハルト・ベルガーのエンジニアとして参加していたマクラーレン・ホンダの16戦15勝の破竹の強さに繋がる強さを、ウィリアムズ・ホンダで発揮し始めた第二期ホンダF1時代に、桜井淑敏監督が好んで口にしたフレーズだからだ。
当時は、TAGポルシェやフェラーリがライバルだったが、ホンダ・エンジンのポテンシャルは、ライバルに確実に水を空けながら、それでも進化を心がけていた。単なる改善ではなく、“さらなる進化”。
好調なベースがあってこそ初めて使えるこのフレーズは、ホンダのパワーユニットが、間違いなくスタート地点に立ったという自覚の洗われでもあり、シーズンへの期待をさらに加速してくれた。
[STINGER]山口正己
photo by Honda