ガスリーがクビアトを抜けなかった理由
予選Q1を1アタックで通過できるとのんびり構えたチームの判断は、ライバルたちが走ってタイヤラバーが乗ったことと、想像以上に路面が改善されたことで間違いだったと気付くことになった。そこでもう一度アタックしていれば、ピエール・ガスリーのQ1通過は間違いなかったが、ガスリー+レッドブル・ホンダはあえなくQ1落ちの烙印を押され、そこでレースのほとんどが決まったと言ってよかった。
開幕戦の会場のアルバートパーク公道コースは、追い越しがしにくいことで知られるが、ガスリーは38周目に前をいくダニール・クビアトのトロロッソ・ホンダに追いついたものの、オーバーテイクできずにそのまま20周後のチェッカードフラッグまで我慢の走行を強いられることになった。
ライバルのフェラーリに乗るセバスチャン・フェッテルを、DRSを使って見事に追い抜き、さらにルイス・ハミルトンを追いかけ回して表彰台を手に入れたチームメイトのマックス・フェルスタッペンと、大きく明暗を分ける結果に見えた。
しかし、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダがフェッテル+フェラーリを抜けたのは、ホンダのパワーの成せるワザ。一方のガスリーは、前を走るトロロッソが同じホンダを積んでいたから抜けなかった、という案外簡単な理由もあった。
ピエール・ガスリーが予選でもう一発アタックしていればレースは別の展開になったはずだが、それは後の祭り。ミスはミスとして、ガスリーの力は次のバーレーンまでお預けとなったが、いずれにしても、ホンダ・パワーが一線級になったことがここでも証明されたのは、どうやら間違いなさそうだ。
[STINGER]山口正己
photo by TOROROSSO