レッドブル・ホンダ、フェルスタッペンのモナコGP
壮絶な闘いとなった2019F1GP第6戦モナコGP。最大のハイライトは、ハミルトン+メルセデスとフェルスタッペン+レッドブル・ホンダの60周にわたる攻防戦だった。
10周目、フェルスタッペンは、ピットでボッタスを強襲して2位をもぎ取った。そてし、そこから延々と78周のゴールまでの60周にわたって、抜けないモナコてハミルトン+メルセデスとの我慢比べを展開した。
ひたすら連なって走っているだけにしか見えない二人のバトルのキーワードは、「5秒ペナルティ」と「スローペース」。ピットでのボッタスとのニアミスを、“アンセーフリリース”と解釈され、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダが5秒加算のペナルティを背負っていたことと、ハミルトンのスローペースだった。
結果として、抜けないモナコを証明してゴールまでトップ4(ハミルトン+メルセデス、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダ、フェッテル+フェラーリ、ボッタス+メルセデス)の順位は変わらなかったが、この60周の間、残り2周のトンネルで口のシケインで、ハミルトン+メルセデスのインを鋭く突いたフェルスタッペン+レッドブル・ホンダの果敢なアタックまで、一見すると列車のように単に連なって見えた4台それぞれは、緊迫しっぱなしだったに違いない。フェルスタッペンが5秒加算のペナルティを背負っていたことで、ハミルトン+メルセデスのスローペースが重要な意味を持って、見えないドラマを演出していたからだ。
ハミルトン+メルセデスは、10周目にルクレール+フェラーリがタイヤをバーストさせてまき散らしたタイヤの破片を処理するために導入されたセフティカーのタイミングでピットインし、ゴールまでの68周を走り抜くために、ハードタイヤに付け替えた。ソフトのようにペースが上がらないだけでなく、いかに持ちがいいとはいえ、60周はギャンブル。最後まで持たせるためにはペースを抑えて走らねばならなかったのだが、それでも終盤には表面に異常磨を示す黒い帯が見えてきて、物語の筋書きを面白いものにした。※ハミルトンが交換したタイヤはハードではなくミディアムでした。修正しました。
5秒のペナルティを背負って走っていたフェルスタッペンは、ハミルトン+メルセデスを抜くかどうかはあまり関係なかった。というのは、仮に抜いたとしても、5秒のペナルティを埋めるためには、ハミルトンに5秒以上の差をつけてゴールしなければならず、それは簡単ではなかった。ハミルトンがペースさえ上げてくれれば、それでよかったが、ハミルトン前をふさがれていると、後ろのフェッテル+フェラーリと、それに続くボッタス+メルセデスがピッタリト着いてきて、5秒の差をつけられず、表彰台を逃してしまうからだ。
フェルスタッペン+レッドブル・ホンダに対して、為す術なしで手も足も出ないように見えていた。だが、残り2周のトンネル出口のシケインで、思い切りよくハミルトン+メルセデスのインサイドに飛び込んだ。フェルスタッペンはこの瞬間をずっきと待っていたのだ。一か八かに見えた公道だったが、ミラーで観察していたハミルトンは、シケインを直進して接触をさけた。フェルスタッペンも、相手がハミルトンだったからそれができた。二人のハイレベルなバトルは、ルクレール+フェラーリがラスカスでグロジャン+ハースをパスしたアタックと並んで、2019モナコGPを語り継ぐ瞬間として深く記憶された。
[[STINGER]山口正己
photo by Formulaone.com