セバスチャン・フェッテルは「ドイツ人らしかった」か?
カナダGPでセバスチャン・フェッテルは、シケインをオーバーシュートしてコースに戻る時に、直後にいたルイス・ハミルトンの進路を妨害したとして5秒加算のペナルティを受け、トップでチェッカードフラッグを受けながら優勝を失った。
この“事件”に対して、大方の意見はフェッテルに味方しているが、反対意見もある。
2016年ワールドチャンピオンのニコ・ロズベルグは、フェッテルは、ハミルトン+メルセデスの進路を邪魔しないラインを取れた、とRaceFans.netにコメントした。
そういう観方もあっていいが、ロズベルグは、ルイス・ハミルトンのチームメイトとしてメルセデスでワールドチャンピオンを手にしていて、いまでもメルセデスと深くつながっていることも、この意見を聴くときの判断材料に入れておくべきかもしれない。
そして、もしロズベルグのいうように、故意に進路を遮ったとして、それが急激にステアリングを切って進路を阻んだのではない限り、“うまく寄せる”ことは前を走るドライバーの権利だ、という考え方ができるケースもある。今回がこれにあたるかどうかは微妙なところだが、ある意味ペナルティはそれを否定したようにも映る。
仮にあそこで接触したとしたら、と考えると、“よくあるレースの出来事”としてペナルティが出なかったかもしれない。だからぶつけていいのではもちろんないが、レースが先陣争いであることを考えると、これは微妙な判断になる。
仮に審査委員会が、“シロ”と判定してペナルティがなかったとしたら、メルセデスやハミルトンは、抗議しただろうか。その点も加味すべきか。
ドイツ人が時として強引に我が道を行くといわれるが、セバスチャン・フェッテルの“ドイツ魂”が頭をもたげてハミルトンの進路を“うまく寄せて”邪魔した可能性は否定できないが、反対意見を述べているのが、今のところ、ロズベルグただひとり、というのも、判定が“シロ”ではなかったことを残念に思わざるを得ない理由だ。
そして、ニコ・ロズベルグもドイツ人。チャンピオンを奪ってさっさと引退した、ある意味“身勝手な”ドイツ人。メルセデスとの関係を含め、もう一つ説得力に力がない?!
[STINGER]山口正己
photo by MERCEDES