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可夢偉と一貴の新たなルマン伝説–第87回ルマン24時間

第87回ルマン24時間で、新たな伝説が生まれた。

16日にゴールした第87回ルマン24時間の結果は、トヨタTS050 HYBRIDの1-2。ある意味当然の結果だったが、ルマン24時間は、すんなりと筋書き通りには終わらないことを今回も証明した。

終了1時間前まで、可夢偉組のゼッケン7がレースをリードし、悲願のルマン制覇に邁進していた。8号車も、安定したペースで2番手に付けていたが、すでにルマン優勝を経験している8号車は、シリーズ・チャンピオンがかかっていたけれど、2位で充分。7号車が勝っても、5位までに入ればタイトルを手にすることができる。このままゴールすれば、変則的な期間で行なわれたスーパーシーズン開幕の第86回と、最終戦の第87回ルマン24時間を⑧と⑦が飾ることができ、小林可夢偉のルマン初制覇という達成感のある“綺麗な”結果になるはずだった。

ゴールした中嶋一貴は、チェッカードフラッグを受けてしばらくは、淡々とした表情だったが、表彰台下に優勝者のために用意された敷物の上に招かれ、溶けたタイヤがくっついてなかなか所定の位置に停められず、やっとコクピットから開放されて、肩を落とす小林可夢偉の姿を目にした瞬間に、目頭を熱くした。「チャンピオンは嬉しいけれど、7号車のレースでしたから」。嗚咽しながらそうコメントした中嶋一貴が、可夢偉の名を出さずに7号車と表現したところに、その胸中が忍ばれた。

2台のトヨタTS050 HYBRIDを1-2でゴールさせたチーム代表の村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表は、「これを繰り返さないために、いまから数日間でこの問題の正確な原因を調査します」とコメントとした。村田にとっては手塩にかけたマシンの1-2には変わりないものの、「最後の1時間の困難な瞬間においても、全体的なパフォーマンスだけでなく、我々がレースを通して示したチームの精神を誇りに思っています」と万感迫る想いを伝えた。

「2度目のルマン優勝で、セバスチャン、カズキ、フェルナンドが世界チャンピオンに輝きました。トヨタGAZOOレーシングにとっては素晴らしいシーズンとなりました。来シーズンはタイトルを守ることを楽しみにしています」。村田の言葉にも、次は可夢偉の番だ、というメッセージが込められていた。

破れた⑦のドライバーが、24時間を振り返った。

マイク・コンウェイは、「いい感じで進んでいたけれと、最後に、タイヤのパンクで大変な結果になりました。しかし、それがルマンです。今日だけでなく、世界選手権で優勝した⑧におめでとうを贈ります。彼らは手ごわい相手でしたが、とても楽しかったです」と唇をかんだ。

悲願を目前で逃した小林可夢偉は、「ルマンに勝つのは非常に難しいですね。なんとも言えない複雑な気分です」としながら、「ここまで4回トライしたので、多分来年はボクのものになるでしょう。重要なのは、決してあきらめてはいけないということです。努力し続けて最善を尽くすべきです」と前を見据えたが、「23時間まではいい感じだったので、この結果を理解するのは難しいです。 8号車とレースの終わりに到達した皆さん、おめでとうございます。 24時間のレースを完璧に終えるのは簡単ではないですね」と悪夢を忘れようとした。

左端の可夢偉だけが、腕を高々と上げられていない。

アンカーを務めたホセ・マリア・ロペスは、「私たちのチームメイトがルマン優勝とワールドチャンピオンシップのタイトルを制覇した8号車におめでとうと言いたい。ルマンの歴史は、それがタフで残酷であることを証明してきました。残念ながら、今日これを体験しなければなりませんでしたが、ボクはチームメイトのマイクとカムイのパフォーマンスに誇りを持っています。彼らは素晴らしいレースを展開し、ルマンへの強い復帰を約束することができます」と締めくくった。

優勝した中嶋一貴は、「今年のルマン優勝は、パフォーマンスではなく、運によって決まりました。7号車に起こったことは信じがたいです」と、同僚に思いを寄せた。

「2016年に(残り数分でストップする)同じような状況を経験したので、(7号車のドライバーが)どのように感じているのか、強く感じています。ボクたちは、兄弟車との接近戦を展開した長く厳しいシーズンを経てワールドチャンピオンにもなったことを誇りに思います」

このレースを最後にチームを去るフェルナンド・アロンソも感慨深げだった。
「ルマン2度目の優勝は素晴らしいことですが、予想外の勝利でした。我々は、7号車に対して勝てるペースがなかった。今日の結果は、運が大きな要因であり、これがモータースポーツです。チームメイトにとって、彼らは友達です。彼らは勝利に値する速さを持っていたけれど、レースは我々が勝利することになった。今回の主題は、(勝つことよりも)世界選手権制覇だったけれど、それが達成できたことをとても誇りに思います」

87回目のルマン24時間は、今年も忘れられないエンディングだった。

[STINGER]山口正己
photo by GAZOO RACING

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