擦り傷以上骨折未満–フェルスタッペンとレッドブル・ホンダ勝利の方程式
フェルスタッペンがルクレール+フェラーリのラインを遮るためにワイドに進路をとったことに対して、“わざとやった”という意見があるが、これは、前に出た者の権利だ。カナダGPのセバスチャン・フェッテルが、コースオフした後にハミルトン+メルセデスの進路を妨害した、というのも、実は同じはず。
だが、カナダではフェッテル+フェラーリにペナルティが課せられ、今回はそうならなかった。安定した判定にならなかった理由は?
*オフィシャル団が反省した、もしくは気が変わった?!
*オレンジ色に染まった観客の暴動が怖かった?!
*元々判定が難しいギリギリのせめぎ合いだから?!
本当の理由はあるのだろうが、カナダも今回も、懸念されたのは、走って決まるはずの勝負が机の上で決められるという不自然さだった。
冷静に判断して、マックス・フェルスタッペンの一言が“闘い”とは何かを見事に現している。
「レースをしているんだ。しかけないなら家で寝ていた方がマシ」
鈴鹿サーキットが日本クルマ子供用のモーターバイクの設計思想が面白い。「擦り傷以上、骨折未満」。完全に安全にしたらチャレンジの意味がない。かといって怪我しては始まらない。今後の基準は、これでお願いします。
[STINGER]山口正己
photo by Honda