レッドブル・リンクの“黄色い曲者”

問題はソーセージだ。といっても、オーストリアやドイツの美味しいあれではない。
オーストリアGPのレッドブル・リンクは、いつもと違うグリッドからスペクタクルなレースを待っている。変則的な予選結果になったのは、短くて超高速のDRSゾーンが3カ所あるレッドブル・リンクの特殊性によるものだが、なかでも独特の縁石がキモ。
通常の縁石は、白と赤に塗り分けられ、クリッピングポイント付近のコーナー内側と、コーナー立ち上がりで膨らむ部分に設置されるが、レッドブル・リンクのそれは、念入りな構造になっている。
赤/白の縁石の外側に、グリーン、さらにその外側が赤く塗られたランオフゾーンになっているのだが、高速コーナーでは、白/赤部分をはみ出す場面が多くなる。それを想定して、グリーンと赤の境目に、“ソーセージ”と呼ばれる黄色の突起が設けられている。これが曲者だ。
本来、そこはコースの外。走ってはいけない部分だが、高速なだけに、勢い余ってそこまで行ってしまう例が頻発する。ソーセージと言うくらい盛り上がったそこは、地上高を極限まで追い込んだF1マシンの天敵。ソーセージにフロントウィングの翼端版が当たり、さらに乗り上げた振動でフラップが折れることもある。
安全のために、はみ出さないように規制するソーセージが、結果として危険なものになっているという皮肉。設計者は、F1トライバーが並大抵のことでは言いつけを守らない人種であることを御存じないのかも?!
[STINGER]山口正己
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