スペクタクルなシーンを連発したホンダのイギリスGP
高速シルバーストンのイギリスGPは、14日に決勝を行ない、ホンダ・パワーの4台のうち3台がポイントを獲得した。
しかし、表彰台争いに絡むポテンシャルがあったアストン・マーチン・レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンは、フェラーリのセバスチャン・フェッテルに追突されるアクシデントで後退を強いられる残念な展開になった。
フェルスタッペンとピエール・ガスリーは、上位でレースを進め、フェルスタッペンはフェラーリのシャルル・ルクレールとオーストリアGPの名勝負を彷彿とさせるバトルを展開、ガスリーはスタートのターン3でフェラーリのセバスチャン・フェッテルをオーバーテイクして5番手に浮上。その後、1度目のピットストップの見事な作業で、ルクレールより前の3番手に上昇。コース上でルクレールに再度先行されたものの、その後数周でセーフティカー(SC)が出動。このタイミングでフェルスタッペンとルクレールが2度目のピットインを行ない、フェッテル+フェラーリが3番手、ガスリー+レッドブル・ホンダが4番手、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダ-ルクレール+フェラーリのオーダーになった。
ガスリーにポジションを譲られたフェルスタッペンは、残り52周レースの37周目にターン15の高速切り返しのストウ・コーナーでアウトサイドからフェッテル+フェラーリをオーバーテイク。しかし次のコーナーのブレーキングでフェッテル+フェラーリに追突されてコースアウトしたもののそのまま走行を継続し、5番手までポジションを下げ
たところでチェッカードフラッグが振られた。
ガスリー/フェルスタッペンとも表彰台は逃したが、トップ3争いを展開。ガスリーが、F1での自己ベストリザルトに並ぶ4位でフィニッシュした。
トロロッソ・ホンダの二人はポイント圏内で闘ってたが、アレキサンダー・アルボンは、戦略的にはもう1度タイヤ交換が必要で、パワーユニットの高圧電力系に問題が発生、クルマに触れないデータが検出され、安全を考慮して2度目のピットストップができず、苦しいタイヤで健闘したが、最終ラップにパスされて入賞はならなかった。
一方のダニール・クビアトは、17番手から力強いレース運びを披露。セフティカー導入のタイミングでハードに交換、粘りのレースで9位を得た。
ホンダF1レーシング田辺豊治テクニカルディレクター
「フェルスタッペン選手が素晴らしい走りを見せ、2戦連続の表彰台が間近だっただけに、あのようなクラッシュでポジションを失ったことは非常に残念です。一方で、ガスリー選手が今季最高かつ自身のベストに並ぶ4位というリザ ルトを獲得したことはポジティブに捉えています。これをきっかけにさらなる上位争いに絡んでいってほしいと思います」
「トロロッソは、クビアト選手が粘り強い走りとチームの的確な戦略により、17番グリッドからの入賞を果たしました。アルボン選手は、PUの高圧電力系に問題が発生し、安全面のリスクを考慮したために2度目のピットストップを行えず、2台 同時入賞を逃す形になってしまいましたが、早急に問題の分析を進めていきます」
「残念な部分もありましたが、今日はオーストリアに続き、ファンにとっては見応えのあるレースになりました。この先のレースでもいい戦いを続けられるよう、懸命にプッシュしてゆきます」
アレキサンダー・アルボン
決勝:12位
「タイヤのマネージメントが難しい一戦でした。マシンに触れない問題で、タイヤ交換ができないフラストレーションのたまるレースでしたが、これもレースと言い聞かせ、次戦に向けて気持ちを切り替えます」
ダニール・クビアト
決勝:9位
「とても満足しています。後方グリッドからだったのであまり期待はしていませんでしたが、昨日セットアップの方向性を見出すことができ、マシンの感触が著しく改善し、ライコネン選手と8番手争いのバトルを楽しむことができました 。ここ数戦、悔しいレースが続いていたので、2ポイント獲得はいい結果でした」
ピエール・ガスリー
決勝:4位
「初日から力強い走りができ、今年一番のレースを、バトルの末に4位で終えることができて、とてもうれしいです。表彰 台まであと一歩のポジションは悔しいでが、チームとして正しい方向への大きな一歩を踏み出すことができました」
「ベッテル選手やルクレール選手とのバトルで、見応えあるアクションを見せられたと思います。表彰台に立つためにまだ改善すべき点は残っていますが、そう遠くない現実と感じています。今日のようなレースが毎回できれば、さらに盛り上がるシーズンとなるはずです」
マックス・フェルスタッペン
決勝:5位
「マシンの調子はとてもよく、速さも見せられていただけに、表彰台を逃したの残念です。ルクレール選手とのバトルはとてもフェアでしたが、明らかにボクのほうが速く、バトルはとても楽しかったです」
「2回目のピットストップのタイミングも正しく、ルクレール選手を抜くことに成功し、フェッテル選手に追いつきましたが、オーバーテイク した後にターン17で追突され、縁石とグラベルを飛び越えて『レースは終わった』と思ったほどでした。パワステに違和感が あり、フロアもダメージを負ったような感覚の中でどうやって最後まで走らせることができたのか正直分かりません」
「そんな状況で5番手でポイントを獲得できたので、結果には十分満足しています。フェッテル選手の故意で起きたことではなく、フェッテル選手が謝罪に来てくれたので怒ってはいません。結果は非常に残念ですが、ファンの皆さんにモータースポーツの面白さを改めて感じてもらえたのではないでしょうか」
[STINGER]大和 空/Sora Yamato
photo by Honda