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「ちょっとホッとした」–浅木泰昭執行役員の部下への想い

部下への想いが2年越しで成就した。

ホンダF1のパワーユニット開発責任者の浅木泰昭執行役員は、オーストリアGPの勝利を、「私個人としてはちょっとホッとした感じですかね。さくら全体としては遂に、なんでしょうね。思いの外、みんな、喜んだり泣いたりしていました」と笑顔で回想した。

自分とスタッフの受けとめの違いには理由があった。浅木泰昭執行役員は、開発責任者として初めて現場に現れた昨年の開幕戦で、こうコメントしている。そこまで3年間、マクラーレン・ホンダは負け続けていた。

「全員が勝つためにやっているのは当然のことだけれど、負け戦が続くとモチベーションも下がってしまう。第二期の体験で感じたのは、勝つとドーパミンが脳内に生成されて、モチベーションも上がること。それを、いまやっているメンバーに早く感じさせてあげたい」

このコメントから1年3カ月、オーストリアGPの勝利で、メンバーにやっと脳内ドーパミンが生成される体験をさせてあげられた安堵感。パワーユニットの開発が順調に進んで優勝できた、というハード的なことより、さくらのメンバーに勝利を味合わせてあげられた。だからホッとしたのだ。

オーストリアGPの決勝レースを前に、浅木さんは、時差の中、衛星回線で現場とつながるミッションルームで担当パーツのデータを確認する15人のスタッフに、シュークリームを差し入れていた。

[STINGER]山口正己
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