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幻の白いメルセデス

白い塗装を剥がしている途中経過を再現。

メルセデスは、母国のドイツGPに、前半分の塗装を白くして参加する。これは、1894年7月22日に世界で初めて行なわれた自動車レース“パリ-ルーアン・トライアル”から125周年を記念した企画だが、白い塗装の由来は、1950年にF1GPになる前の1930年代に遡る。

1930年からグランプリに参戦していたメルセデスは、4年後の1934年に、ニュルブルクリンクで開催されたグランプリにW25で出走した。だが、レースを前に、重量規定を1kgほどオーバーしていたことが発覚。規定重量の750kgに納めるために、当時のナショナルカラーであり、それまでのボディカラーだった白いペイントを剥がした。そこにあやかって、あたかも白い塗装を剥がしている途中のようなペイントで登場することになった。

ちなみに、塗装を剥がすと、アルミ合金製のボディが現れ、以後、メルセデスはその色でレースを続け、1950年に始まるF1GPに、1954年と1955年の2年間参戦、ナショナルカラーも白からシルバーに変更し、ファン・マニュエル・ファンジオが駆るW196はシルバーで登場、シルバー・アロウと呼ばれるようになった。

その後2009年にW01でF1GPに戻ったときも、シルバーのカラーリングを踏襲したのだが、もし、1934年のレースで、W25が重量をオーバーしていなかったら、いまでもメルセデスは白かったかもしれない。

[STINGER]山口正己
photo by MERCEDES

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