スペクタクルなドラマの主役はレッドブル・ホンダ–ドイツGP決勝
2019年F1GP第11戦ドイツGPは、シーズン初の雨によるウェットコンディションで混乱し、セフティカーが都合4回出動する稀に観るスペクタクルなレースになった。
優勝は、アストンマーチン・レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。シーズン2度目の美酒は、シーズン初、レッドブル・ホンダ初の勝利のオーストリアGPと同じく、スタートを失敗して後退した所から次々に前車をオーバーテイクする劇的な勝利となった。
表彰台に、メルセデスがいないのは、2018年第20戦メキシコGP以来。メルセデスの二人は、いずれもコースアウト、クラッシュで後退。ハミルトン+メルセデスは、合計6回のタイヤ交換を行なう大忙しの末、11番手に甘んじ、ボッタス+メルセデスは終盤、3位走行中にウォールにクラッシュしてレースを終えた。
ホッケンハイム・リンクは、決勝日朝から雨に祟られ、15時10分の定刻にセフティカー先導でコースを3周し、状況確認が済んだところで、グリッドスタートが決まり、グリッドからレースをスタートする変則的な幕開けとなった。
グリッドに着く前の周回で、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダがコースを外し、バージボードを壊して、オフィシャルの許可を得てグリッドで修復作業が行なわれ、このとき、すでに“事件”の予兆が始まっていた。
スタートで、予選2番手のフェルスタッペン+レッドブル・ホンダが、ホイールスピンで出遅れ、5位に後退。2台のメルセデスを予選5番手のライコネン+アルファロメオが追う展開でレースが始まり、ハミルトン+メルセデスのペースで64周のレースが進んだ。
雨はやがて弱まったが、タイヤ選択が困難を極め、順位は目まぐるしく変化し、王者メルセデスが大混乱に陥った。
雨と特殊な舗装と水たまりでスピン、クラッシュが連発。まず、3周目にペレス+Rポイント、その後、ルクレール+フェラーリ、フルケンベルグ+ルノー、ボッタス+メルセデス、ガスリー+レッドブル・ホンダが雨に足を取られてスピン、クラッシュしてレースを終え、その都度セフティカーが導入されることになった。
リタイアしなかったものの、ハミルトン+メルセデスも、最も被害が多かった最終コーナーでコースオフしてバリアでフロントウィングを失い、そのまま正規のルートではなくホワイトラインを横切ってピットイン、ノーズとタイヤを交換してコースに戻ったが5位に後退。ピットインの仕方が審議され、5秒ペナルティを食らい、さらには、セフティカーと離れすぎたとして、審議対象と踏んだり蹴ったりの内容で下位に埋もれた。
セフティカーで間隔が何度もリセットされて集団が崩れず、ウェットコンディションとともにバトルを激化させ、最後まで手に汗握るスペクタクルな攻防が続いた。
2台とも予選でトラブルに見舞われたスクーデリア・フェラーリは、シャルル・ルクレールが2位走行中の27周目にスピンからバリアに当たって動けなくなってリタイアを喫したが、Q1を走れなかったセバスチャン・フェッテルは、20番手から追い上げて2位表彰台に駆け上がり、母国で好レースをまとめ、笑顔を取り戻した。
終盤、セフティカーが導入されたところでのタイヤ交換のタイミングが、順位を大きく変動させ、メルセデスの後退と入れ代わるように、いつもとは異なるメンバーが上位を占める結果となった。力強く安定したレースペースで走行したトロロッソ・ホンダのダニール・クビアトがレッドブル時代以来の表彰台を射止めた。クビアトは、前日にベビーが誕生してパパになったばかりのおめでた続きの表彰台となったが、次のハンガリーGPは、2014年に初めて表彰台に上がったオンガロリンクであることが、トロロッソ・ホンダ陣営をさらに笑顔にした。
◆2019F1GP第11戦ドイツGP結果
1. フェルスタッペン+レッドブル・ホンダ
2. フェッテル+フェラーリ
3. クビアト+トロロッソ・ホンダ
4. ストロール+Rポイント
5. サインツ+マクラーレン
6. アルボン+トロロッソ・ホンダ
7. ライコネン+アルファロメオ
8. ジオヴィナッツィ+アルファロメオ
9. グロジャン+ハース
10. マグヌッセン+ハース
11. ハミルトン+メルセデス
12. クビツァ+ウィリアムズ
13. ラッセル+ウィリアムズ
—-以下、リタイア
ガスリー+レッドブル・ホンダ
ボッタス+メルセデス
フルケンベルグ+ルノー
ルクレール+フェラーリ
ノリス+マクラーレン
リカルド+ルノー
ペレス+Rポイント
※ドイツGP詳細結果
[STINGER]山口正己
photo by Honda