ホンダ・パワーの立役者フェルスタッペン驚異の成績
鼻っ柱が強く運転のセンスが抜群、そしてリカバリー能力が桁外れ。雨に翻弄された難易度の高いドイツGPでシーズン2勝目を挙げたマックス・フェルスタッペンは、2時間のレースの集中力だけでなく、シーズンを通して持続力のある並外れた“長期集中力”の持ち主であることを成績が証明している。
2018年のベルギーGPから今年のドイツGPまでの20戦の平均が3.2位。最低5位の安定性がそれを物語る。
ゴルフのタイガー・ウッズが全盛期のときの強さの秘訣を、専門筋は“ボギーを打った後に引きずらずに立ち直る力”といった。取り返そうとすると無用な力が入って蟻地獄に引きずり込まれる。そうならないのがタイガーの強さだ、と。マックス・フェルスタッペンは、2018年ハンガリーGPでリタイアした後に、引きづり込まれるどころか、次のベルギーGPで即座に表彰台に立ち、以後もマシンポテンシャルの範囲で最高のパフォーマンスを持続して1年を闘い抜いた。
今週末のハンガリーGPで、ちょうど1年間が一回り。区切りのレースでマックス・フェルスタッペンの集中力がどう発揮されるのか、期待が高まる。
とはいえ、自動車レースは機械を介した闘いだからトラブルは付き物。そして、4本のタイヤだけで地面に接している自動車は、それがF1であろうが、決められたレールの上を走るモノではなく、実に不安定な媒体であることから、ゴールするまで何が起きるかわからない。雨が降れば不安定さは加速し、スペクタクルの度合いが高くなる。ハンガリーGPも、見逃せないレースになりそうだ。
[STINGER]山口正己
photo by REDBULL