チームメイトの通信簿12/21
21戦中12戦が終了し、夏休みに入った2019F1GP。全10チームには二人のドライバーが所属しているが、同じクルマを使っているはずだが、二人の12戦の合計ポイントの間には少なくない差が着いている。
順位だけ見ても、メルセデスの1-2位、フェラーリの4-5位、ウィリアムズの19-20位が並んでいるだけ。バラバラの理由は、ドライバーの力量だけでなく、チームによっては、同じマシンをそろえられない経済的な理由も見え隠れする。
◆メルセデス
ルイス・ハミルトンがダントツの250点を稼いでシリーズランキングトップはいうまでもない。バルテリ・ボッタスも2勝を記録しながら、188点に甘んじている。この流れは、シーズン後半になっても変わることはないだろう。
◆レッドブル・ホンダ
マックス・フェルスタッペンの2勝は圧巻。ピエール・ガスリーはその陰に隠れ、強大なプレッシャーの中で腰が引けて本来の力を出せていない。残りの9戦を古巣トロロッソで過ごすことになったが、肩の力が抜け、実力を発揮して笑顔が戻ることを期待しておきたい。
◆フェラーリ
シーズン序盤は、シャルル・ルクレールがリードしてシーズンが進むようにみえたが、ここ数戦でセバスチャン・フェッテルがベテランらしいポテンシャルを見せ始めた。対してルクレールは、ミスが目立ち、自滅する展開が目立っている。速すぎるからこそのリタイアから抜けだすことが後半戦のテーマ。
◆マクラーレン
三強に続くのは、本来であればルノーのはずだが、予想外と言っては失礼ながらマクラーレンのカルロス・サインツがいい味を出している。前半戦はほ回ランド・ノリスにスピードがあったが、シリーズを通してみるとサインツが5年目のF1経験を活かして得点を伸ばし、来年レッドブルに復帰のウワサも出始めた。
◆アルファロメオ
キミ・ライコネンの活躍はある種、予想外。マシンで決まるように見えるF1だが、特にハンガリーのハンガロ・リンクのようにドライバーコースでは腕前を見せつけた。チームメイトのアントニオ・ジオヴィナッツィが1点しか取れていないことから、改めてライコネンの巧さが再認識されている。
◆トロロッソ・ホンダ
開幕前のテストからシーズン序盤にかけてスピードを見せていたが、中盤にかかるころから足並みが乱れて停滞。ドイツでダニール・クビアトが3位表彰台の大金星を射止めたことで、シリーズ9番手。三強チーム以外で表彰台に乗ったのはクビアトだけ。一方のアレキサンダー・アルボンは、クラッシュが目立つが、これは伸びるための関門とも。そのパッションで、予選でクラッシュを喫した中国GPでは、ピットスタートから入賞する見事なレースを見せ、ガスリーと交代してレッドブルに大抜擢された。
◆ルノー
ルノーの名前がここまで出ないなんて、セリル・アビデブール代表ならずとも、シーズン前には誰も考えなったはずだ。特にダニエル・リカルドが不遇のトラブルでリタイア続き。ニコ・フルケンベルグは最高位が7位と輝きのないシーズンを過ごしている。
◆レーシングポイント
意外なことに、セルジオ・ペレス13点に対してランス・ストロールが18点と先行している。資金を提供してチームの主導権を父親が持つことから、ランス・ストロールに偏っているという理由はあるが、F1GP参戦3年目ストロールが経験値を重ねて進化していることも間違いない。
◆ハース
シーズン途中にメインスポンサーが敵前逃亡するという事件もあり、今年のハースのチーム力は誕生した2016年のような生きの良さがない。ロメイン・グロジャンとケビン・マグヌッセンは、しばしば接触して話題を呼んでいるが、マグヌッセン18点、グロジャン8点という二人の差も、チームの力量不足によるところが大きい。
◆ウィリアムズ
10年ぶりにF1に復帰したロベルト・クビツァがハンガリーで望外の入賞を手に入れた。ジョージ・ラッセルも、同じハンガリーの予選で、いつもの最後尾を脱して16番手を獲得。マシンはかすかながら上向き、優勝経験者とルーキーの組み合わせはこの後も注目される。予選ですべてラッセルの後塵を排しているが、レースエンジニアによれば、その原因は、マシンの差ではなく、ピレリ・タイヤの経験の差だという。
[STINGER]大和 空/Sora Yamato
photo by formulaone.com