明確なキャラが立ったルクレールvsハミルトンのバトルが始まった!!
メルセデスAMGのトト・ウルフ・チーム代表は、イタリアGPを振り返って、ルクレールが「限界をちょっと超えていた」とジャブを打った。ハミルトンを押し出し、進路を振ってハミルトンの行く手を阻んで黒白旗を提示させたドライビングを皮肉った表現だ。
しかし、その一方で、もし審議されたルクレールの動きにペナルティが出て優勝できなかったとしたら、「赤い暴動が起きるかもしれない」とも。毎年、表彰台したに雪崩込む観客をみれば、それも頷ける。
冷静なはずのシャルル・ルクレールも、チェッカードフラッグを受け、チームから届いた祝福の言葉に、最初は、わめき声と“イエス、イエース!!”とだけしか返せないほど興奮していた。ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスの二人から、強大なプレッシャをレース中ずっとかけ続けられ、そこから開放されてスタンドを真っ赤に染めたファンから届くパワーユニットの音をかき消す声援を受けたのだからそれも当然だった。
しかし、ハミルトンの攻撃を受けたときのシャルル・ルクレールは、極めて“冷静に”対処していた。いかにフェラーリがストレートが速いとはいえ、ハミルトンとボッタスに勝機を与えなかったのは、21歳のモナコ人が、勝負師であり、我が道を行く姿勢を徹底して貫き通したからに違いなかった。
間違いないのは、ハミルトンとルクレールが、34歳と21歳、5回のチャンピオンとF1の2年目、そして銀と赤という、まったく真逆の天才として、その昔のセナ/プロスト/ピケ/マンセルのように、明確なキャラが立った存在として、ここから先のF1を背負って立つことが見えたことだ。
ここにもうひとり、同じくキャラが立った存在として、ホンダ・ユーザーのマックス・フェルスタッペンが加わるからたまらない。次のシンガポールはもちろん、10月13日決勝の鈴鹿の日本GPも、稀に見る熱戦が約束された。
[STINGER]山口正己
photo by PIRELLI