セバスチャン・フェッテルの時代は終わったのか?!
シャルル・ルクレールの快進撃が、シンガポールGPの金曜日に崩れた。フリー走行1をトラブルでほとんど走れなかったルクレールは、その影響かセットが進まず、フリー走行2では6位に沈んだ。ライバルのハミルトンに1.3秒という大差を着けられていた。
代りに、セバスチャン・フェッテルが“復活”し、そこに、下馬評通り、ホンダのパワーを有効に活かしたマックス・フェルスタッペンが絡む結果でマリナ・ベイ・ストリート・サーキットの金曜日が終わった。
◆ルクレールvsフェッテル
金曜日の段階で、フェラーリの二人のポジションが逆転した。フリー走行1はフェッテル2番手、ルクレールは19番手、フリー走行2は、フェッテル3番手、ルクレール6番手。
シンガポールGPを迎え時点でのポイントは、ルクレール182に対してフェッテル169。シリーズランキングは4位と5位、4回のワールドチャンピオンが2年目の新人にポイントでリードされていた。これはフェッテルにとって由々しき問題のはずだが、切羽詰まったこういう状況になると、ドイツ人、と一括りにするのは憚れるが、けつまずく。
ドイツの先輩ミハエル・シューマッハも、順調な時には突っ走るが、いったんつまずくと、崩れる傾向があった。いまのフェッテルは、その意味で先輩譲りに見える。イタリアGPでのスピンもそうだし、そこからの回避行動も、まるで素人のようなドタバタ。芝生の上から無理矢理コースに戻って通りがかりのストロールのレーシングポイントの進路を塞いで接触、ピットでノーズ交換を強いられた。
しかし、シューマッハがそうだったように、それは単にドイツ人らしい(?)ミスをしているだけ、と見れば、シンガポールGP初日金曜日のルクレールとのポジション入れ換えも理解できる。要するに、セバスチャン・フェッテルは、たまたま寄り道をしていた、ということになる。
そうして始まったシンガポールの予選で、フェッテル+フェラーリは素晴しいアタックを見せてトップタイムを記録して復活を思わせた。だが、直後に走ったルクレール+フェラーリが、驚異的な速さであっさりと逆転ポールポジション!!さらに続いてコントロールラインを横切ったハミルトン+メルセデスもフェッテル+フェラーリのタイムを上回った。
フェッテルは予選を振り返って、「全体的には1位と3位はチームにとって素晴らしいことだし、僕が完全に満足できてないにしても、僕らは出せる力をすべて引き出せたって言える」とコメントしたが、「Q3には完全には満足できてない。(2アタック目の)セクター1でミスして改善できないのがわかったから、そのラップを中断することにした」と言い訳もしている。
フェッテルはここでもルクレールの才能に立ちはだかれて追い詰められた。4度のワールドチャンピオンのセバスチャン・フェッテル、その時代を終わらせないために、シンガポールGPで正念場を迎えている。
[STINGER]山口正己
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