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フェルスタッペンの惜しいご乱行

次のアメリカは、標高150mの“普通”の場所で。復調に期待がかかる。

日曜日に決勝レースを行なった2019F1GP第18戦メキシコGPは、ルイス・ハミルトンの巧さと強さが再確認され、フェラーリとレッドブル・ホンダは実にもったいないレースになった。

フェラーリは、タイヤ選択の誤りから、勝てるレースを失った。ハミルトンは、それを見越したように、油揚げを横取りした。フェラーリが、ルクレールのタイヤ交換に手間取って4秒のロスをせず、フェッテルのタイヤ交換のタイミングと選択を誤らなければ、ハミルトン+メルセデスの後塵を浴びることはなかった可能性が高い。

一方、勇み足だったのは、レッドブルのマックス・フェルスタッペン。スタート直後の先陣争いでハミルトン+メルセデスと接近戦の末に、2コーナーで接触してハミルトン+メルセデス(※修正。ハミルトンではなくボッタス+メルセデス)のフロントウィングでタイヤを傷め、大きく後退を余儀なくされたが、フェルスタッペンは強気の姿勢が仇となる事態が続いている。

ポールポジションを決めた土曜日の予選後、ボッタス+メルセデスのクラッシュが見えていたか、という質問に、「見えていたよ」と答えた。正直は悪くないが、この潔さがきっかけで、審査団が事情聴取に動いた結果、グリッドダウンのペナルティでポールポジションを台無しにしたばかりだった。

今回のホンダ・パワー勢は、フェルスタッペンのこの失態を筆頭に、最終ラップでトロロッソ・ホンダのダニール・クビアトが9番手を争っていたフルケンベルグ+ルノーに追突して10秒加算のペナルティを受け、踏んだり蹴ったりの週末になった。

また、アレキサンダー・アルボンはタイヤ交換後にペースが上がらず。結果として力通りのポジションでゴールできたのはピエール・ガスリーだけだった。

Hondaのパワーユニットのポテンシャルを削いでしまう残念な結果になっているが、フェルスタッペンにはもう少しおとなしいレースを、そしてクビアトには、ロシアンロケットを思い出させる果敢さを抑えた闘いを臨むのは、もしかすると無理な相談か。

とはいえ、今回のメキシコは特別だった。空気が薄く、エンジンパワーがダウンするだけでなく、冷却とダウンフォースにも影響した。路面の滑りやすさと合わせて、特殊な状況だった。人間にとっても、息苦しくてなにかと焦る気持ちになるのかもしれないが、次のアメリカGPの会場のサーキットof theアメリカスは、標高150m。“普通の気圧”で、この流れが変わることを祈りたい。

[STINGER]山口正己
photo by REDBULL

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