駐車場でF1GP?!–F1の歴史を変えたラスベガスGP
アメリカGPのコースは、1959年のシーブリングから現在のサーキットof theアメリカスまで9か所のコースで行なわれてきたが、中でもアメリカを象徴するのが、1981年と1982年に行なわれたラスベガスGPだ。なにせ、砂漠の中のラスベガスである。ギャンブル王国ラスベガスでは、
ボクシングのヘビー級タイトルマッチが行なわれることで有名だが、当然それは賭の対象になっている。
ボクシングのリングは、サーキットに比べれば小さくて済むが、さすがのラスベガスでも、レーシングコースはなかった。しかし、レースが存在した。ホテルの駐車場にコンクリートウォールを並べ、足らない距離の分だけ砂漠の中に追加して、3.650kmのコースを造ってしまったのだ。
ちなみに、駐車場に並べられたコンクリートウォールは、400km離れたロングビーチから運ばれたものだった。
F1GPの中で、最も貧相なコースで行なわれたのがラスベガスGPだったのだが、そこはラスべガス。表彰台のプレゼンターは、当時大人気だったシンガーのダイアナ・ロスと、アメリカの名優、今年102歳で健在のカーク・ダグラス。なんとか形が整ったのだった。
[STINGER]山口正己
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