ホンダのブラジルGP決勝
2019第20戦ブラジルGP決勝は、ポールポジションからスタートしたアストンマーチン・レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが今季3勝目、自信8度目の優勝を飾り、レッドブル・トロロッソ・ホンダのピエール・ガスリーが2位で初の表彰台に上がり、Hondaパワーユニットが遡ること28年の1991年日本GPのゲルハルト・ベルガーとアイルトン・セナ以来の1-2フィニッシュを決めた。
レースは、スタートでポールポジションのフェルスタッペンがダッシュを決めて首位をキープ。アレクサンダー・アルボンとガスリーもスタートポジションを守って5番手と6番手につけます。16番手グリッドのダニール・クビアトは、ミディアムタイヤでレースをスタートし、追い上 げを図る作戦。
21周目にフェルスタッペンがソフトタイヤに交換。2ストップ作戦を選択するが、ピットアウト時にクビツァ+ウィリアムズが目の前に飛び出しててタイムロスし、コースに戻ったところはハミルトン+メルセデスの後ろだったが、すぐにハミルトンに追いつき、ターン1でチャンピオンからトップを奪い返した。
22周目にガスリーがピットインしてミディアムに交換。中団勢トップを守り、24周目にアルボンがソフトタイヤからミディアムにタイヤを交換。クビアトは23周目にソフトタイヤに交換し、ポジションアップを狙ったが、後方集団は混戦してオーバーテイクが簡単ではなくレースが進んでいった。
フェルスタッペンは、トップのまま迎えた71周レースの44周目にミディアムタイヤに交換。3周後にガスリー、50周目にアルボンが、ソフトタイヤを選択した。しかし、その直後にボッタス+メルセデスがマシン後部から白煙を上げてストップ。セーフティカーが出動。フェルスタッペンはチームに呼ばれてソフトタイヤを履き、終盤をフレッシュなタイヤで戦う構えとしたが、2番手だったハミルトンはピットインせず、トップになった。
セーフティカー明け直後のリスタートで、フェルスタッペンはターン1で再び見事なオーバーテイクを決め、ハミルトン+メルセデスから首位を奪還。アルボンもフェッテル+フェラーリをパスして3番手に浮上した。
しかし、その後、フェラーリの2台が同士討ちして2台そろってリタイア。再びセーフティカーが入った。今度はハミルトンがピットインしてソフトタイヤに交換。Hondaパワー勢はステイアウトを選択し、フェルスタッペン、アルボン、ガスリーがトップ3に並び、クビアトも他車のリタイアによって10番手までポジションを上げていた。
レースは残り2周で再開され、アルボンはリスタートで3番手に浮上したハミルトンに接触されてスピン、14番手まで順位を落としてしまったが、2人の接触を交わしたガスリーが2番手に浮上してファイナ ルラップを迎え、ガスリーは最終コーナーでハミルトンに並びかけられたが、ハミルトンの“寄せ”を耐えきって、譲らずに2位でチェッカードフラッグをかいくぐり、Hondaパワーユニットの1-2フィニッシュが完成した。
クビアトは10位でポイントを獲得。僅差のコンストラクターズ争いを繰り広げるチームに貴重なポイントをもたらしました。接触によって後退したアルボンは、14位完走となった。
Hondaのブラジル勝利は、今でもブラジルの英雄として強烈な人気を誇るアイルトン・セナが母国初優勝を飾った1991年以来。トロロッソにとって2位表彰台は、2008年イタリアGPのセバスチャン・フェッテルの優勝以来の好成績で、故本田宗一郎の誕生日を飾った。
また、マックス・フェルスタッペンは、現役ドライバーではセバスチャン・フェッテルとルイス・ハミルトンだけだったブラジルGPウィナーのリストに名を連ねた。
ホンダF1レーシング田辺豊治テクニカルディレクター
「アイルトン・セナ選手の母国初優勝となった1991年以来のブラジルGP優勝を果たすことができました。チームの素晴らしい戦略と合わせて、フェルスタッペン選手の本当に果敢かつ冷静なレース展開の判断により勝ち取った勝利だと思います。シーズン終盤での3度目の優勝はまた一つ、私たちに大きな力をくれると思っています」
「また、初表彰台となったガスリー選手は、すべてを出し切り、終始力強い走りで、チームに今年2度目の表彰台が実現しました。最後はハミルトン選手を振り切っての2位は、我々はもちろん、彼にとって大きな自信につながるものだと思います。今シーズンは苦しんできただけに、本当におめでとうという思いです」
「今回は両チームが非常にコンペティティブなマシンを仕上げてくれたことはもちろん、我々のパワーユニットもドライバーに力を与えることができたと思っています」
「今日は次の最終戦、そして来シーズンにつながる非常にいいレースになりました。この結果を今日が誕生日の本田宗一郎さんに捧げます。最後に表彰台を獲得したマクラーレンにもおめでとうの言葉を送ります」
ホンダF1レーシング本橋正充トロロッソ担当チーフエンジニア
「今日のレースは、最後まで凄まじい接戦を制しての2位ということで、感無量です。トロロッソとのシーズン2度目の表彰台獲得ということもあり、特別な想いです」
「今週は金曜からパワーユニットにトラブルが出ていたりもしましたが、チームやドライバーの協力のおかげでなんとかリカバリーできました。ガスリー選手については昨年の一緒にやってきて、昨年は4位といういい結果を出すことができました。今年は彼自身、チームの移籍などもあり苦しい時間があったと思いますが、トロロッソに戻ってからは、徐々に調子を上げてきての今日の結果ですので、本当におめでとう、ありがとうという想いです」
「いい結果を出すことはできましたが、Hondaとしてはまだまだ高いところを目指さなくてはいけないので、これからも進 歩を続けていければと思っています」
【STINGER】
photo by Honda