メルセデスの秘密兵器!?
メルセデスがF1の歴史を替えようとしている。題して、ステアリングプル・システム。
ルイス・ハミルトンの車載映像にはっきりと映っているのは、コーナー立ち上がりでステアリングホイールを“コクッ”と手前に引き、コーナーアプローチで、反対に押し込む動作。この動作によって、フロントタイヤが微妙に動いているように見える。
考えられるのは、直線部分でトー角を空気抵抗を減らす方向に変化させて最高速を伸ばし、コーナー入り口で元に戻してコーナリングに備える、ということ。これまで、誰も考えつかなかったシステムは、FIAが禁止するかもしれないが、そうでなければ大流行するはずだ。
微妙なのは、“空力付加物は動いてはいけない”という規則。タイヤは空力付加物ではないといえばいえなくもないが、FIAのテクニカル部門を預かるロス・ブロウンが、これをどう見るか、注目される。
ちなみに、もしかすると、ノーズが同じに見えるだけでなく、レーシングポイントのペレスが速いのも、同じ方式が採用されているからではないか、という声もある。
いずれにしても、テクノロジーの最先端を行くF1の面白さが再認識されたということだ。F1の進化は止まらない。
[STINGER]山口正己
photo by MERCEDES / formulaone.com