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今でも手描き–天才アドリアン・ニューウェイの時代遅れ(!?)の最先端

ホンダのパワーユニットを搭載するレッドブル・レーシングのアドリアン・ニューウェイ・テクニカルディレクターは、このAI時代に、それもテクノロジーの最先端と言われるF1マシンの設計を、今でも製図版で進めている。

しかし、その考え方は、実に明解。大切なのは、デーテールと基本思想であり、そこから先それを実現するための作業だからだ。

その昔、第一期ホンダF1最後の1968年、先進的な空冷マシンのホンダRA302の主任設計者だった佐野彰一さんは、その前年の1967年イタリアGPで優勝したホンダRA300の設計段階で、ベースを創ったイギリスのローラ社に出向き、そこで日本とまったく違うやり方を学んだという。

日本のやり方は、ビス1本まで、設計責任者の佐野さんが図面を引いていたのだが、ローラ社のエリック・ブロードレイという代表でありテクニカルディレクターは、日本でいうとワラ半紙にささっとディテールを書いて部下に渡していたという。ディテールを決めれば、後はそれにそった設計を部下に委ねる、という形だ。

もちろん、日本のやり方にもメリットはあるし、詳細設計の確かさも完成度に現れるが、とにかく彼我の差の大きさに驚いたという。

コンセプトに従って急造されたRA300は、デビュー戦で優勝した。

似たような話が、CART(現在のインディカー)を闘っていたアメリカ・トヨタのオフィスにもあった。オフィスのエントランスに、歴代のCARTを闘ったトヨタ・エンジンが並んでいたのだが、確か、1996年を境に、素人目にもエンジンがかっこよくなっていた。

それを指摘すると、当時、チーム・トヨタの代表者だった木下美明さん(後のTMG社長)が、“なかなかスルドいですね”と仰る。その年から、メルセデスのエンジン開発を行なっていたイルモアから、大物を引き抜いて、彼の描いたディテールにしたがって開発を進めていたからだった。

ピストン、コンロッド、カムシャフト、バルブ、ヘッドカバーなどなどのすべてが同じ担当者が設計したにも関わらず、見た目がかっこよくなったのは、そのためだった。もちろん、性能もかっこよさに比例して上がったという。

ニューウェイは、まずはデーテールを決め、細かい計算はAIのプロである部下に任せている、ということだ。

大切なのはコンセプトやディテール。そして、それを効率よく具現化できる組織。その2点が、F1で勝ち抜く秘訣と言えそうだ。

今日から始まるカタルーニャ・サーキットのF1合同テストpart2のレッドブル・ホンダのタイムが気になってきた。

[STINGER]山口正己
photo by REDBULL

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