案外、アルボンが先に勝つ!?
メルセデスが当然のように開幕3連勝を手に入れた。話題としては、“今後の楽しみは、このまま連戦連勝がどこまで伸びるかだ”というのが相場だが、日進月歩のF1、メルセデスもウカウカしていると食われてしまう。
打倒メルセデスの急先鋒は、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンという意見に異論はないだろうが、レースは分からない。フェラーリより、レッドブル、というのは当たりだが、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダは、順当にいけば2位になれることから、正攻法でレースを進めざるを得ない。しかし、アルボンは、ある種の奇襲作戦が可能になる。
メルセデス2台が外す可能性は、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダが外す可能性の半分だから、正攻法で勝てる可能性は高くない。つまり、フェルスタッペンが勝つ可能性は、決して高いとは言えないのだ。
しかし、今回も雨がレースのドラマを作ったように、奇襲作戦が当たれば、驚く結果になる。たとえば、今回、ハースの2台がスタート前にピットインした。まさに奇襲作戦。もし、スタート直後に雨が降ってきたら、圧倒的に優位に立てる。スタート前にピットインすれば、他のマシンが止まっている間にタイヤ交換作業ができている。仮に1周目に雨になってハミルトンがピットインしたとしても、まず、ピットまでドライタイヤで走らねばならず、さらにハースが移動しているところでのピット作業になるので、タイムロスが大きくなって、ハースの前でコースには戻れない。
雨が降らなかったから、ハースの作戦は単なるギャンブルになったが、勝機のないチームだからこその作戦で、成功する可能性は限りなく低いけれど、ゼロではない。つまりハースのやり方はあり、ということだ。
さて、アルボン。開幕戦では、タイヤ交換のタイミングもあって、ハミルトン+メルセデスをコース上で抜いている。正攻法ではない戦い方をすると、そういうことが起きる。ハースの場合と同じく、可能性は限りなく低い低いが、ゼロではない。
[STINGER]山口正己
photo by Honda