タイヤから見た70周年記念GP
8月9日にシルバーストン・サーキットで行なわれた70周年記念GPも、タイヤが重要なカギを握った。タイヤを1社供給するピレリ・タイヤの視点でレースを分析する。
キーポイント
•4番グリッドからスタートしたレッドブルのマックス・フェルスタッペンが、見事な戦略で70周年記念グランプリを制した。トップ10グリッド中ただ一人ハードタイヤでスタートしたフェルスタッペンは、ハードタイヤの耐久性を活かして長い第一スティントを走行し、トップに立ち、その座を堅持することに成功した。
• フェルスタッペンは、ハード – ミディアム – ハードと繋ぐ戦略。この戦略を実行したドライバーは、フェルスタッペンとマクラーレンのカルロス・サインツのみ。フロントローからスタートしたメルセデスの二人は、ミディアム – ハード – ハードと繋ぐ戦略で2位と3位でフィニッシュした。
• 大半のドライバーが 2 ストッパーだった中、8番グリッドからスタートしたフェラーリのシャルル・ルクレールは、1ストップ戦略で4位を獲得した。トップ 10 ドライバー中もう一人の1ストッパーは、ルノーのエステバン・オコン。二人とも、ミディアムからハードへ交換する戦略を採った。
• 4名のドライバーが3ストップ戦略を実行。20名中19名が完走した。
• 前日よりも気温が高く、レース中の路面温度は40℃を超えていた。今回のタイヤの組み合わせは、先週のイギリスグランプリ時より一段階軟らかいものだった。
各コンパウンドのパフォーマンス
• ハード C2 : フェルスタッペン優勝の鍵となった。それは、予選Q2をホワイト・ハードで通過したフェルスタッペンの決断によって実現した。メルセデスのルイス・ハミルトンは、ハードタイヤでファステストラップ・ポイントを獲得した。
• ミディアム C3 : レースのもう一つの鍵は、先週のソフトタイヤと同じコンパウンドのミディアム・タイヤだった。大半のドライバーが、ミディアムタイヤを装着してスタートした。
• ソフト C4 : これまでシルバーストンで選択された中で最も軟らかいコンパウンドのソフト・タイヤは、レーシング・ポイントのニコ・ヒュルケンベルグのファイナルスティントで使用したのみだが、他のコンパウンドを使用した戦略構築を促したことで、このレース週末の基礎的な要素のひとつとなった。
ピレリ カーレーシング責任者 マリオ・イゾラのコメント
「今回のレースは、レッドブルとマックス・フェルスタッペンによる完璧な戦略の勝利でした。フェルスタッペンの戦略は土曜日の午後から始まりました。スタート時に装着するために、Q2をハード・タイヤで通過したことが功を奏しました。長い第一スティンを活かしてトラックポジションを上げ、その後はフロントローからスタートした両メルセデスを抑えきりました」
「シルバーストンは、タイヤに厳しい屈指のサーキットであることに加え、先週よりも一段階軟らかいコンパウンドの組み合わせを使用したことは、レースの刺激的な要素となりました。予想通り、ブリスターの発生が散見されたものの、レースへの影響は限定的でした。タイヤマネジメントが不可欠の要素であったことは否めませんが、臨機応変に対応したドライバーも素晴らしかったと思います」
「そして、視聴者はエキサイティングで予測ができないレースを堪能できたことと思います」
【STINGER】
photo by PIRELLI