ガスリー初勝利!! ホンダのイタリアGP
モンツァ・サーキットで行われたイタリアGPは、セーフティカーや赤旗中断もあり劇的な展開となり、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーがキャリア初優勝を飾った。アルファタウリはホームGPでの勝利となり、ホンダとのパートナーシップ開始から50戦目という記念のレースに花を添えた。
レースのスタートでは、アストンマーチン・レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンがポジションを落としたものの、オープニングラップでランス・ストロール(レーシングポイント)をパスして7番手につけると、前を行くバルテリ・ボッタス(メルセデス)へプレッシャーをかける。その後方で、ガスリ ーとチームメートのダニール・クビアトが10番手、11番手を走行。アレクサンダー・アルボンは、スタート後のターン1でガスリーとの接触でシケインを外れて15番手まで順位を下げていた。
ハードタイヤでスタートしたクビアトは、11番手を維持して後半の上位進出へ向けて好ペースを保ち、アルボンもシャルル・ルクレール(フェラーリ)をオーバーテイクするなど、追い上げに挑んだ。
19周目にケビン・マグヌッセン(ハース)が、マシントラブルでピット入口付近でストップ、セクター3でイエローフラッグが掲示されると、アルファタウリはガスリーをピットへ入れてハードタイヤに交換。この直後にセーフティカー導入となったが、同時に止まっていたマグヌッセンのマシン位置を考慮し、ピットレーンクローズの指示が出された。
このため、セーフティカー導入直後には各車ピットインができず、セーフティカーの後方で隊列ができたころにようやくピットレーンがオープン。各車一斉にタイヤ交換のためピットに向かい、フェルスタッペン、クビアト、アルボンもこのタイミン グでピットイン。
一方で、一足早くピット作業を終えて隊列についていたガスリーは、後からピットインしたマシンの前に出る形となり、3番手まで浮上した。
セーフティカー解除の直後に、ルクレールが最終コーナーのパラボリカで激しくクラッシュ。ドライバーは無事だったが、コース脇のバリアを修復のため、レースは赤旗中断となった。
この間、タイ ヤ交換が許可されず、ガスリーは新品のミディアムタイヤ、フェルスタッペンとクビアトはフリー走行で使用したユーズドのミディアムタイヤ、アルボンがハードタイヤに履き替えた。
レースは、各車がグリッドにつくスタンディングスタートで27周目から再開、3番グリッドのガスリーは、好スタートでストロールの前に出て2番手を確保。さらに、首位のルイス・ハミルトン(メルセデス)は、ピット レーンクローズの中でピットインしたとしてストップ&ゴーペナルティーが科され、後方に下がった。
こうして、残り26周時点で首位に立ったガスリーは、後続との差を広げながら快走を続け、クビアトも10番手を走行してポイント圏内を確保。一方のレッドブルl勢は、フェルスタッペンがパワーユニットの問題でリタイア。アルボンはマシン・ダメージとトラフィックに苦しんで後方でのレースを余儀なくされていた。
レースが残り15周に差し掛かる頃から、2番手のカルロス・サインツ(マクラーレン)が徐々にガスリーとの差を詰め始め、最後の数ラップはDRS圏内に入られるも、ガスリーはこのプレッシャー下でもミスなくチェッカーまで走りきり、約0.4秒差でサインツを抑えて初のF1優勝を成し遂げた。
この勝利は、ホンダにとってもアルファタウリとの初優勝となり、2014年に現行のPU規則が導入されて以来、同一メーカーのPUで複数チームが優勝を果たすのは初めての記録も生まれた。
チームメイトのクビアトも周りのマシンとバトルを続け、最後は9位にポジションを上げて2ポイントを獲得。アルボンはマシンダメージによって一周あたり2秒ほどのタイムロスが続き、15位でレースを終えた。
次戦は1週間後の9月13日(日)決勝で、F1初開催となるムジェロ・サーキットのトスカーナGPが行なわれる。
ホンダF1レーシング田辺豊治テクニカルディレクター
「今日はスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリーが本当に素晴らしい優勝を果たしました。トロロッソ時代も含めアルファタウリとの50戦記念という節目のレース、またチームの本拠地イタリアで、一緒に優勝を祝うことができたことを本当にうれしく感じています」
「ガスリーの非常に安定した力強い走りに加え、チームのレース戦略もきっちりと機能し、我々のPUも含め、全員が力を合わせて努力してきた結果だと思います。キャリア初勝利を飾ったガスリー選手、そしてチームのメンバーにおめでとうを贈りたいと思います」
「ホンダとして、ここまで彼らと一緒に歩みを進めてこられたことを誇りに感じ、ここまで応援してくれたファンの皆さまに、感謝の言葉を贈ります。一方で、今週末は我々にとってはPUのモード制限に初めて対応するレースとなり、さまざまなことを経験しました。特にアストンマーチン・レッドブル・レーシングのフェルスタッペンは、PUのトラブルでリタイアとなり、PUとしては厳しい問題も発生しました。ここからこの問題の解析を進めるとともに、今週末のデータ、状況を見直し、来週のムジェロでのレースに備えたいと思います」
ホンダF1レーシング本橋正充スクーデリア・アルファタウリ担当チーフエンジニア
「本当に、今日の勝利にはアメイジングの一言です。今の気持ちをどう表していいか言葉が見つかりません。ここまで一緒に歩んできたアルファタウリとの50戦目という記念のレース、そして彼らのホームグランプリで、ここまでずっと苦楽を共にしてきた ガスリー選手と一緒に勝利を挙げられたことは、信じられない気持ちです」
「個人的には、赤旗中断になる前から、“もしかしたら”という気持ちはありましたが、そのためにPUとしても最大限のパワーを送ることができました。今日だけでなく、ここまでの歩みも含めて、チームの全員、ガスリー選手、クビアト選手、そして応援して くれたファンのみなさまに感謝しています。本当にありがとう。そしておめでとう!」
【STINGER】
photo by Honda