ハミルトン+メルセデス、完璧な勝利
タイヤをコントロールし、レースをコントロールし、ミハエル・シューマッハの記録を破る92勝目。ルイス・ハミルトンは、アンジュレーションがドライバーを惑わせるアルガルベのコースを、ていねいでありながらファステストラップを更新し続けるスピードで、誰にも真似できないレベルに到達したドライビングで66周を走りきった。
スタート直後に中団の中でペレス+レーシングポイントがスピンし、1周回って、ボッタスとハミルトンのメルセデスを引き連れて最初に戻ってきたのは、7番グリッドからスタートしたカルロス・サインツのマクラーレンだった。16番手からスタートしたライコネン+アルファロメオも8番手まで順位を上げ、大混戦の幕が切って落とされた。
ソフトタイヤとミディアムタイヤのタイム差がほとんどなく、土曜日の予選Q3では、10台全車がミディアムタイヤを使うという“異変”が起きていたが、トップ10はQ2で使ったタイヤが義務づけられ、ソフトタイヤでスタートせざるを得なかったペレス+レーシングポイント、オコン+ルノー、アルボン+レッドブル・ホンダなどがハンディを背負った形でのスタートを強いられ、タイヤがレースをかき回す役目となった。
そんな中で、9番手からスタートしたピエール・ガスリーのスクーデリア・アルファタウリ・ホンダが、66周のレースの最初から最後まで、安定した速さと巧さを見せ、5位に食い込む殊勲の走り。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのポテンシャルからは入賞すれば上出来の状況を打ち破った。
フェラーリのセバスチャン・フェッテルが、久々にキレのいい走りで、ライコネン+アルファロメオをバトルの末にパス、久々に“レース”を見せたるなど、中団で激しい先陣争いが行なわれた。
次の舞台は、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダの本拠地に近い
ボローニャ近郊のイモラ・サーキット。2006年のサンマリノGP以来、久々のF1GPを迎える。
[STINGER]山口正己
photo by MERCEDES