上出来のバーレーンGP決勝のホンダ–by田辺TD
第15戦バーレーンGPの決勝は、アストンマーチン・レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンが2位・3位でそろって表彰台に登り、スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーも6位入賞。ホンダのパワーユニット勢の3台がポイントを獲得した。
オープニングラップでロメイン・グロジャンが、ダニール・クビアトの前を横切る形で接触からコースアウト、高速でバリアに激突。マシンは真っ二つに割れ、大きな炎が上がったが、グロジャンは自力で脱出し、深刻な事態は 免れた。このアクシデントで赤旗が掲示され、レースは1時間以上中断となった。
スタンディングスタートで再開されたレースは、2番手にフェルスタッペン、5番手にアルボン、9番手にガスリー、15番手にクビアトのポジション。レッドブル・ホンダの2人はスタート時に履いていたミディアムタイヤで首位のルイス・ハミルトン(メルセデス)を追った。
クビアトは、再開後のレースでも、ターン8でイン側に切り込んできたランス・ストロール(レーシングポイント)と交錯/接触、ストロールのマシンが横転してストップしたためにセーフティカーが出動。クビアトは10秒のタイム加算ペナルティーを判定され、大幅にポジションを落とす結果となった。
ミディアムタイヤでスタートしたガスリーは、赤旗中断の間にタイヤ交換を行ない、ハードに変更して再開後のレースに臨み、フェルスタッペンは、最初のピットストップを終えたあと、ハミルトンよりも先にピットインをして新品タイヤに交換する戦略を採用したが、2度目のピットストップでは作業時間に3秒以上かかってしい、ハミルトンの 約3秒後方でレースに復帰する。
アルボンは、リスタート後にバルテリ・ボッタス(メルセデス)の前方の4番手につけてセルジオ・ペレス(レーシングポイント)にプレッシャーをかけながらレースを進めた。ミディアムタイヤで2スティントを走行した後、ハードタイヤ への交換を行なうも、差を詰めることができなかったが、残り3周でペレスのMGU-Kにトラブルが発生して炎を吹き上げてリタイアしたことで3位を手に入れ、自身2度目の表彰台登壇を果たした。ホンダのPUのダブル表彰台は、昨年のブラジルGP以降で通算3度目。
アルボンが2ストップ、フェルスタッペンは3ストップとなる一方で、ガスリーは1ストップ戦略を採用。ハードタイヤを持たせながら粘り強く走るが、終盤で5番手から7番手までポジションダウン。しかし、ペレスのリタイアによって順位を1つ上 げ、6位でフィニッシュした。
クビアトは、10秒のペナルティーにもかかわらず、11番手まで追い上げたが、シャルル・ルクレール(フェラーリ)に迫ったところで、ペレスのリタイアによるセーフティカーが出動。そのままレース終了となり、11位でチェッカーフラ ッグを受けた。
次戦は1週間後、再びバーレーン・インターナショナル・サーキットが舞台となるが、外周ルートを使用するレイアウトに変更され、ザヒールGPとして開催される。
ホンダF1レーシング田辺豊治テクニカル・ディレクター
「スタート直後の大きな事故でいきなり長い赤旗中断となりましたが、アストンマーチン・レッドブル・レーシングのフェルスタッペンが2位、アルボンが3位表彰台と、我々にとって中東3連戦の初戦は、ポジティブな結果となりました」
「2人のドライバーともにレースを通して堅実なドライブでダブルポディウム、加えてフェルスタッペン選手がファステストラップを獲得してくれことをとてもうれしく思っています。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリーは、唯一の1ストップ作戦を取ったが、粘り強くタイヤをマネージしながら6位と、いい結果でレースを終えてくれました。クビアトは、再開直後の接触によりペナルティーを受け、11位と惜しくも入 賞を逃しました」
「来週は、今週と同じバーレーン・インターナショナル・サーキットで、レイアウトを変えてのレースが行われます。今回のいい結果を次戦、そして最終戦のアブダビGPにつなげ、さらによい戦いができるように準備を進めていきます」
「最後に、スタート直後のクラッシュでハースのグロージャンに深刻なケガがなかったことにとてもホッとしています。昨今では稀に見る大きな事故でしたが、現代のF1マシンの安全性の高さを証明することとなったと感じており、FIAやチーム の安全に対する取り組みに、改めて敬意を表したいと思います」
【STINGER】
photo by Honda