50年ぶりのメキシコ国歌、ペレス初優勝!!
「夢じゃないといいんだけどね。10年かかりました。最初の周で(スピンして)、先週と同じかなと思ったけれど、ようやく勝ち取りました。メルセデスもトラブルがあったようだけど」
メキシコ人として最後にリカルド・ロドリゲスが優勝したのは、50年前。表彰台で、50年ぶりにF1で流れたメキシコ国歌を聞きながら、デビューから10年待ち焦がれた優勝を手に入れたセルジオ・ペレスは泣いた。
12月6日に決勝レースを行なった2020F1GP第16戦ザヒールGPは、スタート直後にルクレール+フェラーリと接触してスピン、最後尾に落ちたセルジオ・ペレスが、波乱のレースを安定したペースで走り抜き、F1GP初優勝を飾った。デビューから10年、メキシコ人としては1970年のペドロ・ロドリゲス以来の優勝だった。
「とてもスムーズに運転できるクルマと支えてくれたみんなに感謝したい」
2位のルノーのエスティバン・オコンを挟んで、ランス・ストロールが入り、レーシング・ポイントが初めての表彰台に登って歓喜の雄叫びをあげた。
3位にはペレスのチームメイトのランス・ストロールが続いた。
ペレスが歓喜する影で、最も悲しんだのは、優勝を逃したメルセデスのジョージ・ラッセルだった。ポールポジションからダッシュを決め、完璧なレースを展開していたが、ピットでメルセデスがタイヤを間違えるという大ポカで、もう一度ピットインしてタイヤを付けなおして18番手に後退。そこからファステストラップを連発して追い上げたが、10位で1ポイントを稼ぐのが手一杯だった。
メルセデス・チーム代表のトト・ウルフをはじめ、チーム首脳が次々にチームラジオで申し訳ないとラッセルに謝ったが、「覆水盆に戻らず」。ラッセルは、ステアリングをたたいて悲しみにうちひしがれた。
ホンダ勢は、主砲のフェルスタッペン+レッドブル・ホンダをスタート直後に失った。フェルスタッペンは、スタート直後のペレスとルクレールのスピンを巧みに避けたが、コーナーを曲がり切れずに膨らんでタイヤバリアに当たってあっけなくレースを終えた。アルボン+レッドブル・ホンダが、クビアト+アルファタウリ・ホンダに続いて6位に入り、ホンダ・パワーユニットの面目を保った。ガスリー+アルボン+レッドブル・ホンダは、入賞圏内を走っていたが、ゴール時点では11番手に甘んじた。
距離の短い高速コースでの87周レースは、当初から混乱が予想されていたが、予想をはるかに上回るドラマが連発し、記憶に残るレースになった。
2020F1GPの最後は、2週間後のアブダビGPが受け持つ。締めくくりの会場となるヤス・マリーナ・サーキットでは、レースの後にテストが予定されている。
ザヒールGP結果
1. ペレス+レーシングポイント
2. オコン+ルノー
3. ストロール+レーシングポイント
4. サインツ+マクラーレン
5. リカルド+ルノ
6. アルボン+レッドブル・ホンダ
7. クビアト+アルファタウリ・ホンダ
8. ボッタス+メルセデス
9. ラッセル+メルセデス
10. ノリス+マクラーレン
11. ガスリー+アルボン+レッドブル・ホンダ
12. フェッテル+フェラーリ
13. ジオヴィナッツィ+アルファロメオ
14. ライコネン+アルファロメオ
15. マグヌッセン+ハース
16. エイトキン+ウィリアムズ
17. フィティパルディ+ハース
—-以下、リタイア
ラティフィ+ウィリアム
フェルスタッペン+レッドブル・ホンダ
ルクレール+フェラーリ
[STINGER]山口正己
photo by RACINGPOINT