頑張れ角田裕毅!!
若干20歳、レース経験は4歳ころからあるので充分だが、ひとつ足らないものがある。それは、勝ち急ぎすぎということ。角田裕毅にとってエミリア・ロマーニアGPは、失敗を取り返したハミルトンと好対照のレースだった。
ハミルトンを抜くシーンがあったが、抜いたところでスピン。これもオーバースピードだった。ハミルトンが余裕で先を急ぎ、まさに新人とベテランという感じで印象的だった。
予選のクラッシュも、レースの度重なるスピンも、気負い過ぎが原因。それが今回の角田裕毅の総てだったが、足らないのはそれだけ、という見方もできる。つまり、気負いさえなくせばいいということだ。
開幕前のテストで4000km以上の走り込みを積んだ角田裕毅だが、ウェットは未経験。「特に加速は注意しなければならないことを学んだ」と反省した。
インターミディエイトでスタートし、ソフト-ミディアムとつなぎ、タイヤも学習した。「インターミディエイトタイヤでのスタートは難かしかったけれど、変化する路面コンディションで、それぞれのタイヤがどう機能するかを学ぶ絶好のチャンスになりました」と前向きに解釈した。
レッドブル・レーシングに移籍した10年選手のセルジオ・ペレスが、「力を出せるようになるまで5~6レースはかかると思う」、と言っていたが、2戦目でフロントローからスタートして本人もビックリだった。けれど、レースは角田裕毅の前の11番手。5~6戦はいい読みだったことになるが、角田裕毅は、「最初からプッシュ」と言って足を滑らせた。
下から積み上げる考え方のペレスと、いきなりプッシュの角田。正反対の2人が、どういう曲線を描くのか、今シーズンの大きな話題のひとつになった。
今回の失敗を糧にして強くなっていく角田裕毅が楽しみだ。
[STINGER]山口正己
photo by Scuderia AlphaTauri