ホンダのスペインGP by田辺TD–「メルセデスに負けている」
フェルスタッペンが2位表彰台とファステストラップを獲得
9日にカタルーニャ・サーキットで行なわれたスペインGPの決勝で、ホンダのパワーユニット搭載の4台は、それぞれドラマチックな闘いを展開した。
レッドブル・ホンダのマックス・フェルタッペンが、2番手から好スタートを決めてトップに立ち、レースの大部分をリード。66周レースの60周の大詰めでハミルトン+メルセデスに逆転を許したが、最後までドラマチックなレースを演出。フェルスタッペンを含む3台が入賞を果たした。
4台全車がソフトタイヤでスタートし、フェルタッペンの僚友セルジオ・ペレスも8番手から6番手に順位を上げた。
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダは、どちらも御難に見舞われた。ピエール・ガスリはスタート時にグリッド枠をはみ出してストップしたことで5秒加算のタイムペナルティーを科され、角田裕毅は燃料圧力の問題で7周目のターン10でマシンをストップさせてしまう。
角田のストップでセーフティカーが出動。リスタートでフェルスタッペンは首位を堅持し、ハミルトンとの差をキープしながら、第1スティントをなるべく長く持たせ、ピッ トストップを引き延ばした。
ガスリーは、18周目にピットイン。ペナルティーも消化し、ミディアムタイヤに交換。フェルスタッペンは24周目にピットに向かい、右リアタイヤの交換に手間取ってタイムをロスしたが、ハミルトンが4周後にピットインしたことでリードを回復。ペレスもこのタイミングでピットストップした。
フェルスタッペンがハミルトンを抑え、ペレスはリカルド+マクラーレンの後方で追い越しの機会を伺う展開が続いた。メルセデスはハミルトンに2ストップ戦略を採用。フェルスタッペンの23秒後方でレースに戻った。
ペレスは46周目のターン1で、リカルドを見事にアウト側から仕留めて5番手に順位を上げ、大きな差のあるフェラーリのシャルル・ルクレール追撃にかかった。ガスリーは48周目に2度目のピットストップでソフトタイヤに交換。ポ イント圏外に後退したが、好調なペースで追い上げを開始した。
残り7周で、2位のフェルスタッペンは4周新しい同じミディアムを履くハミルトンにトップを奪われて2番手に後退。ファステストラップ獲得の作戦に切り替えてピットイン。ソフトタイヤに交換し、ファ ステストラッ=1ポイントを獲得した
ペレスは5番手でフィニッシュして10ポイントを獲得。ガスリーは終盤に多くの見せ場を作り、60周目にはライコネン+アルファロメオ、次の周にアロンソ+アルピーヌをオーバーテイク。さらにストロール+アストンマーチンを捉えて10位に入賞。最終ラップの最終コーナーで、リカルド+マクラーレンに追いついたが、際どく追い越しは叶わなかった。
次戦は伝統のモナコGP。2週間後の5月23日(日)に決勝レースが行なわれる。
ホンンダF1レーシング田辺豊治テクニカルディレクター
「スペインGP決勝は、レッドブル・ホンダのフェルスタッペンが2位表彰台を獲得しました。先週のポルトガルGPに続く2位の結果には非常に悔しい思いです」
「予選2番手でフロンローからスタートしたフェルスタッペンは、よいスタートを決め1コーナーでポールポジションのハミルトンをパスしてトップに立ちましたが、異なるタイヤ戦略を採ったハミルトンに終盤にかけて激しく追い上げられ、逆転を許して2位。彼らは速さとチームの総合力で我々を上回っていたと感じています」
「チームメー トのペレス選手は、昨日の予選でひじの痛みなどもありうまくラップをまとめられずに8番グリッドからのスタートとなりましたが、トラフィックの中で難しいレースながら5位までポジションを上げてフィニッシュしました。いいレースを見せてく れたと思います」
「スクーデリア・アルファタウリ・ホンダのガスリーはスタート時の違反で5秒ペナルティーを受けたことが影響し、ポジションを落としましたが、力強い走りで終盤にいくつものオーバーテイクを見せ、チームにとって貴重な1ポイントを獲得してくれました」
「16位スタートの角田は燃料圧力の低下が発生したために序盤にリタイア、今週末は彼にとって厳しい週末になりました。問題の原因については、早急にチームと一緒に解析を進めていきます」
「2週間後には、モナコGPを迎えます。低速コーナーが多い特殊な市街地コースですので、ここまでのレースとは異なるチャレンジになりますが、いい準備をしていければと思っています」
【STINGER】
photo by Honda