ハミルトンよ恥を知れ
31日にオンガロリンクで行なわれたハンガリーGPの予選は、高い気温とテクニカルなコースで熱い闘いが期待された。しかし、その熱戦に水を差して台無しにしたのがルイス・ハミルトンだった。
ポールポジションを決めるのQ3最終アタックで、ライバルのレッドブル・ホンダのマックス・フェルタッペンの直前でピットアウトしたハミルトンは、必要以上にのろのろとピットロードを走行し、さらにコースでもフェルタッペンの前をスローペースで走った。
よく言えば、陽動作戦というのかもしれないが、どう見てもライバルを苛立たせる作戦だ。日本的な武士道からすると、ストレートに言うと“汚い”、いかにもハミルトンらしいやり方だった。
イギリスGPのフェルスタッペンとの接触にしても、フロントウィングをレッドブルのリヤ・タイヤに当てたのを見てハミルトンらしさを感じさせた。「あの高速でそんなことはできない」という意見があったが、今回は完璧な確信犯だった。
もちろん、そうまでしてでも勝つのがヨーロッパの狩猟民族的思考回路であり、闘いの厳しさだろうが、武士だけでなくナイトも、相手を後ろから切っていいことはない。
だからこそ7回のタイトルを獲得できた、という見方もあるが、こうなったら、フェルタッペンが、このままポイントをリードしたまま23戦を闘ってほしいと思う。
『正義が勝つ』ということが立証されることを心から祈りたい。
[STINGER]山口正己
photo by MERCEDES