小林可夢偉、ついにルマンの栄光!! 周囲に感謝
トヨタTS050 HYBRIDが4連勝(3連勝を修正)を決めた2021WEC世界耐久選手権第4戦の第89回ルマン24時間レースで、小林可夢偉がついに頂点を極めた。
今年のルマンは、ハイパーカーが新登場して話題を呼ぶ区切りのレースだったが、そこでこれまで未勝利だった小林可夢偉が勝ち名乗りを挙げたことは、意義深かった。
強い雨の中をスタートし、雨に翻弄された荒れた展開のレースだったが、ゼッケン7のトヨタTS050 HYBRIDは、序盤に可夢偉が高速のインディアナポリス・コーナーでコースオフを喫する危うい場面や、燃料システムのトラブルに見舞われる試練を乗り越え、最後は僚友のゼッケン8中嶋一貴組を引き連れてトップで24時間を走り抜いた。
可夢偉は、予選でもいつものように最速タイムを記録して7号車はポールポジションからスタート、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスとのコンビネーションも文句なしで優勝まで駆け抜けた。
可夢偉がルマンにトヨタTS050 HYBRIDで参戦したのは2016年から。2017年には驚異的なポールポジションも記録し、ルマン最速であることを示しながら、レースではツキがなかった。偽オフィシャルにピット出口で“GO”の合図を出される不可解な出来事で失格の憂き目も味わった。
可夢偉の優勝に対して、トヨタ・ガズー・レーシングの豊田章男チーム代表は、「可夢偉がシャンパンの栓を、なんのトラブルもなく抜いた姿もちゃんと見ていました。シャンパンの抜き方を忘れない内に勝てるクルマを準備できて本当によかった(笑)」と祝辞を贈った。
しかし、勝利は簡単に手に入ったわけではなかった。終盤には、燃料系統のトラブルに対応する走りを強いられ、「死力を尽くして走らなければならなかった」。危うい状況の中で、チームが精確な指示を出したことにさされられた可夢偉は、「完走できたのはチームのお蔭」と感謝のコメントを述べた。
「ルマンの勝者としてここにいるのは、最高の気分です。ここに到るまでに、何年も何年も、様々な経験を経てきましたし、その中には本当に辛いものもありました」
「ル・マンに勝つためには運が必要だと常々感じていましたが、今日も運が必要でした」
「最後は走り続けるために、特別な操作をしなくてはなりませんでした。終盤の7時間は、生き残るために死力を尽くして戦う必要があり、とても難しい作業でした。通常であればそこでレースは終わりでしたが、チームが本当によくやってくれて、正しい判断で導いてくれたおかげで、なんとか最後まで走りきることができました」
「チームメイト、車両担当やエンジニアはみんなこのレースウィーク、素晴らしい仕事を成し遂げてくれました。彼ら全員に感謝します。
【STINGER】
photo by GAZOO RACING