ルイス・ハミルトン100勝目の金字塔–ランド・ノリス恨みの雨
2021F1GP台15戦ロシアGPは、F1グランプリの面白さが凝縮されたレースだった。
フロントローをランド・ノリス(マクラーレン)とカルロス・サインツ(フェラーリ)が奪い、3番手にウィリアムズのジョージ・ラッセル。新鮮なグリッドから、まずはサインツ+フェラーリがダッシュを決めて1コーナーを最初に回った。
4番手グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)も鋭くダッシュしたが、1コーナーで前が詰まって7番手に後退、6番手からスタートしたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がコーナーを大回りしてシケインを大きくカット。スタートからスタンドは総立ちとなった。
ノリス+マクラーレンは、サインツ+フェラーリにジワジワと追いつき、13周目にパス。チームメイトのダニエル・リカルドも5番手を護ってレースを進めた。
最初のタイヤ交換が一通り終わったところで、マクラーレン・メルセデスが1-2へ。ここに来てマクラーレンは完成の域に達した感があった。
序盤は、ノリス+マクラーレンが逃げ、ハミルトン+メルセデスが2位のリカルド+マクラーレンに接近、そのハミルトン+メルセデスをペレス+レッドブル・ホンダがピタリとマーク。ややあってアロンソ+アルピーヌと、最後尾から追い越し祭を展開してよじ登ってきたフェルタッペン+レッドブル・ホンダ。ここまでの6台が、時にはひとつの画面に映り込む接近戦を展開。以下の中団も、好バトルを見せていた。
ノリス+マクラーレンは、極めて安定したペースで周回を重ね、追い上げてきたハミルトン+メルセデスを抑えていたが、雨の予報に対するチームの判断が明暗を分けた。
53周レースの残り10周ほどのところでコース中盤
の海岸沿いに雨が降り始め、小降りから土砂降りになった。チームの判断でタイヤ交換をせずにスリック・タイヤのままで走り続けていたノリス+マクラーレンは、ふらつくマシンを押さえ込んでいたが、土砂降りにたまらずコースを外し、逸早くレインタイヤに交換していたハミルトン+メルセデスにあっさり抜かれた。
残り数周のところで、ノリス+マクラーレンはピットインしてタイヤを交換、最終ラップにファステストラップを樹立したが、時すでに遅かった。
初ポールポジションの翌日の初優勝は、雨に流された。不運というにはあまりに雨の代償は大きかった。
優勝したハミルトンは、2006年カナダGPから数えて100勝目を飾った。
「100勝目まで長かった。ランド(ノリス)はペースもよかったし、マクラーレンのためによく頑張っていた。昔のチームがいい仕事をしていたと思う。ランドに行かれては困ると思ったけれど、チームがいい判断をしてくれて勝つことができて嬉しい」と感慨深げ。
2位には最後尾から追い上げたマックス・フェルタッペン(レッドブル・ホンダ)が食い込んだ。
「ランドを追い越すことはできなかった。ミスを待つしかない状況だった。彼はミスはしなかったけれどね。雨のお蔭、チームに感謝しています」
ロシアGP結果
1. ハミルトン+メルセデス
2. フェルタッペン+レッドブル・ホンダ
3. サインツ+フェラーリ
4. リカルド+マクラーレン
5. ボッタス+メルセデス
6. アロンソ+アルピーヌ
7. ノリス+マクラーレン
8. ライコネン+アルファロメオ
9. ペレス+レッドブル・ホンダ
10. ラッセル+ウィリアムズ
11. ストロール+アストンマーチン
12. フェッテル+アストンマーチン
13. ガスリー+アルファタウリ・ホンダ
14. オコン+アルピーヌ
15. ルクレール+フェラーリ
16. ジオヴィナッツィ+アルファロメオ
17. 角田裕毅+アルファタウリ・ホンダ
18. マゼピン+ハース
—-以下、リタイア
ラティフィ+ウィリアムズ
シューマッハ+ハース
[STINGER]山口正己
photo by MERCEDES / McLaren