タイヤから観たトルコGP–byピレリ
2021F1GP第16戦は、前夜の雨で残った水たまりを霧雨が乾くのを阻害して、ダンプが残るウェットコンディションの中で展開し、インターミディエイト・タイヤを中心とするタイヤ選択と交換のタイミングが戦況を変化させる見応えのある闘いとなった。
202年10月10日のイスタンブールのキーポイント
• ポールポジションからスタートしたメルセデスのバルテリ・ボッタスが、2セットのチンチュラート・グリーン/インターミディエイトによる1ストップ戦略でトルコGPを制した。
大半のドライバーがボッタスと同じ戦略を採用。ボッタスは、残り11周時点で、フェラーリのシャルル・ルクレールを抜いてトップへ。ルクレールは、インターミディエイトで長いオープニング・スティントを走行していた。
• スタートからフィニッシュまでダンプが残るウェットコンディション下、多くのドライバーがインターミディエイトで長いオープニングスティントを走行。11番グリッドからスタートしたメルセデスのルイス・ハミルトンは、50周以上のオープニングスティント走行後、2セット目のインターミディエイトへ交換して5位でフィニッシュした。ハミルトンは、予選で最速タイムを記録したが、グリッド降格ペナルティを受けていた。
アルピーヌのエステバン・オコンは、タイヤ交換を行うことなく、1セットのインターミディエイトで完走して10位を手に入れた。
• フェラーリのカルロス・サインツは、パワーユニット交換によるグリッド降格ペナルティを受けて19番グリッドからスタート。2セットのインターミディエイトを使用して8位でフィニッシュ、ポジションを11アップして、ドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれた。
• レースを通して断続的に雨が降る冷涼なコンディションとなり、フィニッシュ時の気温は17℃、路面温度は19℃だった。
各コンパウンドのパフォーマンス
• インターミディエイト
全ドライバーがレースを通して使用。オコンは、1セットのインターミディエイトで完走した。
また、35周から50周ほどの長いロングスティントもいくつか見られた。これらのことから、レースを通してグリップと性能を供給したインターミディエイトが、変化するコンディションに極めて適応していたことが証明された。
• ミディアム C3
ベッテルが1周だけ使用したが、路面上にはドライラインが見え始めていたものの、スリックタイヤの使用には難しいダンプが残っていた。
ピレリ F1およびカーレーシング責任者 マリオ・イゾラのコメント
「土曜日のフリー走行同様、今日のレースは終始ウェットコンディションとなりました。しかし、フルウェットが必要な激しい雨ではなく、インターミディエイトの完璧な守備範囲となりました」
「インターミディエイトは、広範囲に渡って変化するウェットコンディションに非常に良好に適応することを示しました」
「わずかにドライ路面が見え始めた終盤にタイヤ交換を行ったドライバーたちは、グレイニングの発生に見舞われ、より早くタイヤ交換を行なったドライバーたちは、よりウェットな路面でグレイニングを抑制することができました。この点が、断続的な雨のコンディション下で鍵となるアドバンテージとなりました」
「ボッタスは、厳しい状況下、2セットのインターミディエイトによる完璧な1ストップ戦略を実行しました。他の多くのドライバーたちは、レース終了までにどの程度ドライになるかが不明だったことから、ピットストップを遅らせました」
「しかし、レース全体をインターミディエイトで走ることは、我々が推奨することではなく、実際にいくつかのチームにそのリスクを警告しました。しかしながら、ここトルコでインターミディエイトは素晴らしい
性能を発揮し、58周に渡る滑りやすいコンディションの下、全ドライバーが完走しました」
【STINGER】
photo by PRELLI