タイヤから見たブラジルGP by ピレリ–ハミルトンとフェルタッペンの壮絶バトル!!
F1GPにタイヤを一社供給するピレリが、ルイス・ハミルトンがF1GP101勝目を飾ったサンパウロGP(ブラジルGP)を分析した。
ハミルトンは、ペナルティや失格事件を乗り越えて、10番手グリッドからオーバーテイク・ショーを披露、ミディアム-ハード-ハードとつなぐ2ストップで71周を走りきった。残り数周でトップのフェルタッペンのDRS圏内に追いつきハイレベルなチャンピオン・バトルの応酬は、17万人を飲み込んだ超満員のスタンドを熱狂させた。テレビで見守った世界中のF1ファンの視線を釘付けにした。
<キーポイント >
* メルセデスのルイス・ハミルトンが、ミディアム – ハード – ハードの2ストップ戦略でブラジルグランプリを制した。トップ3のドライバーが同じ戦略を採用。
* 10番グリッドからスタートしたハミルトンは、トップを走行していたレッドブルのマックス・フェルスタッペンよりも1周早く1回目のピットストップを、3周遅く2回目のピットストップを行ない、ポジションを上げていった。最終的には、フェルスタッペンを抜いて優勝し、チャンピオンシップの差を縮めた。
* 多くのドライバーが2ストッパーだった中、3名が1ストップ、2名が3ストップ戦略を実行、7種類の異なるタイヤの組み合わせが実行され、戦略の多様性を示した。
* スプリント予選での規則で、スタート時のタイヤ選択が自由な中、アルファタウリの角田裕毅以外のドライバーがC3コンパウンドのP Zeroイエロー・ミディアムタイヤでスタート。角田は、P Zeroレッド・ソフトタイヤでスタートした。第2スティント以降でソフトを使用したのは、レッドブルのセルジオ・ペレスのみだった。ペレスは、残り2周時点でソフトへ交換し、ファイナルラップでファステストラップポイントを獲得した。
* スタート時の気温は24°C、路面温度は昨日よりも20°C近く高い50°C隣、そのコンディションはゴールまで変わらなかった。
* 序盤の15周までにセーフティーカー導入が発生し、前半に2回のバーチャルセーフティーカーが導入されたことから、燃料満タン時のタイヤ摩耗が軽減された。
【各コンパウンドのパフォーマンス 】
* ハードC2
全ドライバーが使用し、レースでの鍵を握った。レース週末中、ハードの使用機会が無かった中、上位勢は2セットの新品ハードタイヤで走行。高温のコンディション下、ハードは最大限の性能を発揮し、一貫したスピードを示し、柔軟なピットストップウィンドウを提供した。
* ミディアムC3
ほぼ全員がミディアムでスタートした。セーフティーカーと2回のバーチャルセーフティーカー導入が、ミディアムによる長いオープニングスティントを可能にし、その後のスティントにより多くの選択肢を提供した。
* ソフトC4
スプリント予選では積極的に使用されたが、ソフトでの長い走行が適さない高温のコンディションだったことから、レースでの使用は限定的だった。ペレスは、ソフトタイヤでファステストラップを記録し、4位を獲得した。
ピレリ F1およびカーレーシング責任者 マリオ・イゾラのコメント
「上位勢の性能が拮抗し、多くの予測戦略が実行されたグランプリにおいて、戦略が主役となりました。昨日のスプリント予選時よりも20°C近く高くなった路面温度が、戦略に最も大きな影響を及ぼし、より硬いコンパウンドの使用を促進しました」
「このチャレンジングなコンディション下、メインのレースタイヤとなったハードは、素晴らしいラップタイムを刻み、非常に良好な性能を発揮しました」
「セーフティーカーの導入によってオープニングスティントが伸びたことから、ドライバーたちは、以降のスティントでより多くの柔軟性を得ることができました。特に上位勢では、“アンダーカット”に関して戦術的な戦いが繰り広げられたため、上位勢の中で、ハードを使用した第2スティントが短くなったドライバーが見られました」
「ルイス・ハミルトンは、スプリント予選の最後尾から決勝での優勝を果たし、この週末を通して素晴らしい仕事をしました」
【STINGER】
photo by PIRELLI