アクシデント連発のサウジアラビアGP–タイトル争いは最終戦に持ち越し
2021F1GP第21戦のサウジアラビアGPは、12月5日日曜日にジェッダ・コーニッシュ・サーキットで決勝レースを行ない、アクシデントが連発する激闘の末、ハミルトン+メルセデスが優勝。フェルタッペンとのチャンピオン争いを、今週末に行なわれる最終戦のアブダビGPに持ち越した。
レースは、スタートが3回やり直しになり、さらに3度のヴァーチャルセフティカーが提示される波瀾の展開。初開催の超高速のジェッダ・コーニッシュ・サーキットは、スピードがモーターレースの大きな魅力であり、同時にリスクであることを伝える舞台として、記録と記憶に刻まれることになった。
予選でコンクリート・ウォールに接触してマシンを壊し、フロントローをメルセデスに譲って3番手からスタートしたマックス・フェルタッペン+レッドブル・ホンダが2位でゴールした。
最初の混乱は、10周目、ミック・シューマッハ+ハースがスピンしてバリアに激突、シューマッハは無事だったが、レースは赤旗中断。バリアが修復され、2回目のスタート。
ここで3番手にいたフェルタッペンが、予選後の、「レースで挽回する」というコメント通り、スタートダッシュで2台のメルセデスの前に出て、コースをはみ出しながらトップに立った。
しかし、その後方で、ルクレール+フェラーリが、ペレス+レッドブル・ホンダに追突されてスピン。後続が大混乱となり、レースは赤旗中断。
三度目のスタートは、中断前のアクシデントの混乱で、ポールポジションとなったエスティバン・オコン+アルピーヌとハミルトン+メルセデスと並んで1コーナーにアプローチしたフェルタッペン+レッドブル・ホンダが、コースをはみ出しながらトップに進出。この追い越しを審査委員会が見とがめ、ハミルトンにポジションを譲るようにチームに出した指示が、レースを大きく変えることになる。
レース終盤、じりじりと差を詰めて接近したハミルトン+メルセデスとの一騎討ちになったが、ハミルトンがDRSを効かせて前に出ようとした瞬間、審査委員会から指示を受けたチームが、フェルタッペンに「ポジションを譲れ」の指令を出した。即座に反応してアクセルオフしたタイミングが、ハミルトンがフェルタッペンを追い越す瞬間に重なり、軽く接触。ハミルトン+メルセデスのフロントウィング翼端板が破損した。
ハミルトンは、「なんて危ないんだ!!」とフェルタッペンの“急減速”に抗議したが、フェルタッペンは、チームからの指令に反応してアクセルオフしただけだった。
ここで勝負ありと見えたが、一端は2番手に下がったハミルトン+メルセデスは、手負いのメルセデスをなだめながらもファステストラップを連発、タイヤが限界に達したフェルタッペン+レッドブル・ホンダを追い詰めて抜き去り、“いつものように想定通りの逆転で3連勝を飾った。
これでハミルトンは25ポイントとファステストラップの1ポイントの合計26ポイントを加えて368.5とし、2位で18ポイントを追加したフェルタッペンとまったくの同ポイントで最終戦を迎えることになった。
8番手グリッドからスタートした角田裕毅+アルファタウリ・ホンダは、最初のスタートで13番手にポジションを落とし、予選の段階から問題を抱えていたタイヤのマッチングに悩まされ、14位ノーポイントでレースを終えた。
最終戦のアブダビGPは、最後を飾る舞台として、今週末の12月10日に開幕、12日に決勝レースを行なう。
サウジアラビアGP結果
1. ハミルトン+メルセデス
2. フェルタッペン+レッドブル・ホンダ
3. ボッタス+メルセデス
4. オコン+アルピーヌ
5. リカルド+マクラーレン
6. ガスリー+アルファタウリ・ホンダ
7. ルクレール+フェラーリ
8. サインツ+フェラーリ
9. ジオヴィナッツィ+アルファロメオ
10. ノリス+マクラーレン
11. ストロール+アストンマーチン
12. ラティフィ+ウィリアムズ
13. アロンソ+アルピーヌ
14. 角田裕毅+アルファタウリ・ホンダ
15. ライコネン+アルファロメオ
—-以下、リタイア
フェッテル+アストンマーチン
ペレス+レッドブル・ホンダ
マゼピン+ハース
ラッセル+ウィリアムズ
シューマッハ+ハース
[STINGER]山口正己